3000年11月01日

高齢犬の(腹部背側に癒着した)大きな腫瘤の摘出

14歳1か月 8.8kgの柴犬の腹部にかなり大きな腫瘤があり手術を行いました。
手術前検査では、血液検査、胸部レントゲン検査には異常はありませんでした。
腹部の腫瘤は超音波検査では、嚢胞状を呈し、中には液体の貯留がありました。その際に、右側腎臓は大きな腫瘤のためか確認できませんでした。

下:腹部レントゲン写真 前腹部に矢印の方向に1個大きな腫瘤があるのが分かります。
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開腹手術ではまず最初に、嚢胞状の腫瘤表面に小切開をしてカテーテルを挿入して中の液体を吸引しました。

下:カテーテルを入れて茶色の液を吸引している画像
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その後に嚢胞状の腫瘤に小切開を広げて吸引器(サクション)で中を吸引排液、洗浄しました。洗浄後に腫瘤の中を除くとデコボコしたものが、数個ありました。

下:嚢胞状の腫瘤に小切開して中を覗いた画像  *軽く画像にぼかしを入れてあります
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中の液体を吸引して腫瘤を小さくすれば腹腔から外に出せるかと思いましたが、腫瘤の背側側が腹腔内の背側に広く、強く癒着を起こしており腫瘤は上の表面だけが腹腔から見える程度した出ませんでした。よって、洗浄のために空けた穴を縫合して腫瘤全体を背側側から徐々に取り出しまして無事に手術終了しました。

下:摘出した腫瘤
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下:摘出した嚢胞状の腫瘤を切開して開けた画像
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手術後は、麻酔の覚醒も良く、翌日の血液検査でも特に異常はなく翌々日から食欲旺盛、元気もありで2日で退院しました。

病理組織検査では、腎臓に発生した上皮悪性腫瘍の疑い。壊死部分が多く確定診断はできませんでした。
特殊免疫染色のため、標本をアメリカに郵送して検査依頼しました。
1週間後の抜糸時の来院時は、食欲、元気もあり経過は良好とのことでした。

特殊免疫染色での病理組織検査では、上皮由来の癌は否定され、粘液肉腫でした。癌ではないものの再発と転移に注意は必要との事。


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3000年10月01日

高齢犬の頸部にできた水腫の局所麻酔による摘出

18歳半のダックスフントの首の頸部に以前から水泡状の嚢胞があり1か月おきに穿刺にて中の漿液を抜いていました。飼い主の方は、高齢犬ではあるものの手術を希望されたので、手術を行う事になりました。犬の性格と腫瘤の形状と高齢なのを考慮して局所麻酔での摘出手術を行いました。
術前検査では、血液検査、レントゲン検査ともに異常ありませんでした。
一応、犬が暴れるようなら全身麻酔を行う可能性もあるので血管確保は行いました。
腫瘍周辺8か所に局所麻酔を施し手術を実施しました。

下:腫瘤周辺に滅菌布を装着したところ
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手術では、皮膚はラジオ波メスで全周の皮膚を切開し、皮下識を分離してシーリンブシステムで血管ごと組織をシールドして切除しました。出血、痛みはほとんどありませんでした。全身麻酔は、施さずに局所麻酔だけで摘出できました。

下:ラジオ波メス、シールドシステムで切除した後の画像
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下:切除後は、皮膚は、抜糸の必要のない吸収性縫合糸で埋没縫合しました。
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下:摘出した水泡状の腫瘤(嚢胞状) 
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特に悪性所見はありませんでした。
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兎の試験開腹

7歳3か月のメスのウサギが、血尿があり夜間病院で診察を受けました。そちらの診断では、各種検査で子宮に子宮蓄膿症がある疑いがあり手術が必要な趣旨を言われ当院に来院されました。
当院の検査では、レントゲン検査では食滞あり、子宮に関しては不明瞭でした。エコー検査では、確かに異常はあるようだが不明瞭でした。
飼い主の方は、すでに手術の覚悟をしており手術を強く希望しておりました。よって、異常がない場合も説明した上で試験開腹術を行いました。

*試験開腹術とは、腹部疾患の疑いを否定できずに診断の目的で開腹する手術です。開腹して腹腔内臓器の状態を直接見て判断する方法です。試験的にに開腹を行い異常があった場合に各種手術を行い、異常がない場合はそのまま閉腹する手術です。

手術では、盲腸、小腸に食べたものが大量にあり完全に食滞状態でした。卵巣子宮は若干大きい程度でしたが、子宮の一部が少しマス状に軽度に腫れている部位が肉眼上数か所あり子宮癌の疑いもあり、卵巣子宮全摘出術を実施しました。

下:手術中の画像 卵巣、子宮
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下:摘出した卵巣、子宮
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手術後は、当日退院 その後は、食欲もあり経過良好でした。

その後の病理組織検査では、1か所に平滑筋肉腫、左右子宮を含む数か所に腺癌との結果でした。
偶然に、試験開腹で異常が発見できてよかったと思われました。
ウサギの腺癌は子宮癌では一番多いタイプのもので、中年〜高齢の雌のウサギに発生する悪性腫瘍です。この腫瘍の性質上、腹部および胸部のモニターが今後必要です。
 
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消化管内異物

消化管内異物では、内視鏡で除去、手術で摘出以外に何もせずに様子観察でお尻から出るのを待つケースも多くあります。

6歳半のシーズが、一昨日から嘔吐が頻回するとの主訴で連れて来られました。レントゲン検査をすると胃内に2個の異物が確認されました。異物は、胃の出口の幽門部付近にあり、そこで停滞して嘔吐を誘発しているようでした。内視鏡での異物除去も考えましたが、1日様子観察しました。

下:来院1日目のレントゲン写真 ラテラル像 矢印のところに異物があります
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下:来院1日目のレントゲン写真 VD像 矢印のところに異物があります
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翌日の診察では、嘔吐はなくなりました。レントゲン検査を行うと、異物は胃内から腸に移動しているのがわかりました。大きさから考えて通過すると判断してそのまま様子観察にしました。

下:来院2日目のレントゲン写真 VD像 矢印のところに異物は移動しています。
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翌々日の診察では、状態は改善したとの事でしたが異物はまだ出ていないとの事でした。そろそろ肛門付近に移動していると思い、直腸診を行うと異物が1個指先に触われて指で1個だけ体外に取り出しました。

下:来院3日目 直腸検査で除去した異物のうちの1個 少し固く表面が凸凹したものでした。何かは不明でした・・
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下:来院3日目のレントゲン検査 VD像 レントゲン検査で残り1個は骨盤腔内の直腸にありました。
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骨盤腔内の直腸にあるもう1つの異物もそのまま自然に排出されると思います。

異物摂取では、動物の大きさ、年齢、性格や異物の種類、形、大きさ、経過時間や飼い主の方の希望などによりそれぞれ対応は違います。

その後、残りの1個もすぐに出たとの事でした。

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脾臓の一部に大きな腫瘤ができて脾臓摘出手術をおこなった症例

13歳3か月のアメリカンコッカースパニエルが昨夜から元気がないと連れて来られました。

右上腹部あたりに痛みがあるようで、レントゲン検査で脾臓に腫瘤があるのが分かりました。また、血液検査で強い炎症反応(CRP20以上で測定不能)があるのが分かりました。その後、1週間内服で炎症を抑える治療をすると炎症の数値は正常値になりました。超音波検査では、脾臓の腫瘤の血流は少なく、脾臓の腫瘍(悪性の血管肉腫)の疑いが強いものの、腫瘍ではない可能性もあり、また手術に耐えられる状態に改善したので高齢犬でしたが試験開腹手術を実施しました。

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上:CRレントゲンラテラル画像(右下画像 左が頭側、右が尾側) 腹部に大きな腫瘤があるのがわかります(矢印)

試験開腹手術では、脾臓の一部に大きな腫瘤がありましたが、肝臓などその他に異常がないので、脾臓摘出手術を行うことにしました。脾臓から走行する血管をシーリングシステムでシールドしてなるべく結紮糸を使わずに大きな腫瘤を脾臓ごと摘出しました。摘出後は、悪性腫瘍の可能性もあるので3リットルの洗浄液で腹腔内を洗浄して閉腹しました。手術時間は90分でした。手術後の覚醒も非常に良く、元気、食欲もあり翌日退院しました。摘出した腫瘤のある脾臓は約500gの重量でした。


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上:手術中の画像 画像にノイズを入れてぼかした画像です。


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上:摘出した脾臓の画像 脾臓の一部に腸間膜を巻き込んだ大きな腫瘤があるのが分かります。腫瘤の一部は以前に少し破裂を起こした形跡があり、そこに腸間膜が癒着していました。見た目では、悪性の血管肉腫のような感でした。 画像にはノイズを入れてぼかした画像です。

病理組織検査:後日の病理組織検査では、脾臓結節性過形成、血管拡張症を伴う との検査結果でした。今回の症例では、リンパ濾胞過形成は脆弱な組織で、時に破裂して出血を起こす可能性があるとの所見でした。要するに、今回の症例の脾臓にできた腫瘤は、悪性腫瘍ではなく手術後の予後は良好との事でした。 

手術をしてから1か月後に、レントゲン検査、血液検査を行いましたが、その後の炎症などの異常は全くなく完治しました。

脾臓にできた腫瘤は、手術前の血液検査、レントゲン検査で麻酔・手術ができる状態ならば、試験開腹を行い、試験開腹手術では脾臓以外に異常がなし(転移所見がなければ)今回のように悪性腫瘍ではないケースもあるので、見た目で判断せずに状態が良ければ腫瘤ごと脾臓摘出を行った方が良い場合もあります。
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子猫のコクシジウム症

生後1か月半の猫が健康診断で連れて来られました。検便の検査でコクシジウムが寄生しているのがわかりました。

下:検便の顕微鏡写真 (×100倍) 丸い小さいのは全てコクシジウムです

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下:検便の顕微鏡写真 (×400倍) 顕微鏡を高拡倍した画像

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これらは、虫卵ではなくオーシスト(oocyst)と呼ばれています。通常の線虫類では、消化管内に寄生虫がいると虫卵といわれるものが便とともに排泄されます。線虫類では、外界から体内に侵入しないかぎり消化管内で寄生虫が増える事はありません。しかし原虫類に分類されるコクシジウムでは、このオーシスト自体が寄生虫です。よってほかの線虫類とは違って、消化管内で1個が2個に、2個が4個にと分裂して増殖を繰り返します。

写真をよく見るとオーシストの中の構造物スポロシスト(sporocyst)が1個のものと2個のものがあるのがわかります。スポロシストが分裂してオーシストの壁が破れて1個から2個へと増殖するようです。

猫では、臨床上、大きく分けると2タイプのコクシジウムがいるようです。大型のコクシジウム I.Felisと小型のコクシジウム I.rivolta が検便で見つかります。経験上、小型のタイプでは無症状が多く、大型のタイプでは下痢症状が出やすい傾向にあると思われます。 今回のは、大型のI.Felisでした。既に、下痢の症状もあり、すぐに駆虫薬の投与を開始しました。
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高齢雌の陰部にできたポリープ

12歳4か月のシーズが、陰部より出血がある。何かできものがあると連れて来られました。
見ると、外陰部の入り口にポリープがありました。

下:外陰部にポリープがあるのが分かります。

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出血が継続していたので、血液検査、レントゲン検査を行った上で手術で摘出しました。
手術では、シーリングシステムを使用して血管結紮なしで手術を行いました。

下:シーリングシステムでポリープを切断するところの画像

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下:摘出した有袋状のポリープ(右)と、その中に溜まっていた血液の塊り(左)

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病理組織検査では、線維性ポリープでした。
このような膣の良性病変(線維性ポリープ、ポリープ状線維腫、線維平滑筋腫、平滑筋種など)は未避妊の雌犬でよく認められるもおです。切除により予後は良好ですが、再発を防ぐには避妊手術がよいとされています。今回の症例では、ポリープ切除と避妊手術をお勧めしましたが、高齢なのと以前から僧房弁閉鎖不全症を起こしているのでポリープだけの手術を希望されました。
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再発する口腔内の痛み(痛みの歯の場所が特定できない)に対して抜歯を行った症例


慢性的に口に痛みがあり、血液検査で炎症の数値が高い状態が何度も再発する犬がいました。この子は、噛み癖があり、また口の痛みから口腔内を観察することはできないワンちゃんでした。抗生物質を内服すると一時的に炎症の数値が下がり、口の痛みも緩和するが薬を止めると数週間で痛みが再発しました。
なかなか口の中を見せてくれないので、全身麻酔でデンタルケアーのついでに歯をチェックすると上顎の前臼歯に歯肉炎があり、ここが原因だと特定できないが治療的な診断として抜歯を行いました。

下:麻酔下で上顎の前臼歯に異常がありました。
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下:抜歯後の患部 歯肉部分に大きな穴ができました。
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抜歯した歯の根本をスライドグラスに塗抹した標本を染色すると炎症細胞と多数の細菌が観察されましたので、この歯の根本には強い炎症があると判断されました。はっきり分かる膿はないものの後眼窩膿瘍と診断しました。

下:その部分は吸収性縫合糸で縫合して歯肉が再生しやすいように処置を施しました。
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下:抜歯した前臼歯 歯の根本は3本ありここに炎症がおきるケースがあります。
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通常の後眼窩膿瘍は、眼の斜め下部分が腫れたり膿が出てきて分かるケースがほとんどですが、今回のケースではそのような症状はなく、麻酔にて確認して抜歯に至りました。

その後、口内の痛みはなくなりました。
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尻尾の根本付近にできた大きな腫瘍

11歳6か月 雄(去勢)のチワワの尻尾に以前からある腫瘍が大きくなったと連れて来られました。身体検査で、僧房弁閉鎖不全症(levine 2/6 雑音あり)、血液検査以上なし
尻尾の根本にあり腫瘍はすでにかなり大きく、将来的に破裂、化膿を考え、腫瘍だけ切除は困難と判断して尻尾の根本から断尾手術をする事になりました。

下:手術前の腫瘤

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手術では、ラジオ波メス、シーリングシステムを用いて短時間で血管結紮なしで手術終了。皮膚は吸収性縫合糸で埋没縫合を行いました。腫瘍はかなりおおきく断尾手術もマージン(正常部、異常部の境界)もぎりぎりの状態でした。

下:手術後すぐの患部の画像

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下:手術後しばらくしての患部 綺麗になりました。

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後日の病理組織検査では、肛門周囲腺過形成、肛門周囲腫でした。良性腫瘍かつマージンも問題なく経過良好でした。


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3000年09月01日

発情中に行った雌犬の避妊手術

雌犬が避妊手術希望で初診で連れて来られました。聞くとすでに1年齢経過しており、1回生理があったとの事。2回生理があると乳腺腫瘍の発生率が上昇(4匹中1匹に発生)してしまうので、すぐに避妊の予約をしました。

後日、来院して入院する際に身体検査をすると外陰部より生理出血が始まった兆候を確認しました。(以下)

下:避妊手術当日、診察台の上で生理出血を確認。
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2回目の生理出血が始まろうとしている状態だと手術の際に若干出血が多くなりますが、今後の乳腺腫瘍発生を考慮してそのまま避妊手術を行った方が今後の乳腺腫瘍の発生率が少なくなる可能性を考え、そのまま避妊手術を行う事にしました。(飼い主の方と相談の上)

避妊手術を急いだ理由・・・
乳腺腫瘍の発生原因とメカニズムとして性ホルモンが乳がん発症の大きな要因のひとつと考えられています。
よってデーターとして以下のようなものがあります。
(1)初発情前に避妊手術をした犬での乳腺腫瘍の発生率は、0.05%(200頭中1頭)
(2)発情回数が1〜2回の間に避妊手術をした犬での乳腺腫瘍の発生率は、8%(100頭中8頭)
(3)2回以上の発情があった後に避妊手術をした犬での乳腺腫瘍の発生率は、26%(4頭中1頭)
(4)避妊手術をしない場合の犬での乳腺腫瘍の発生率は、26%(4頭中1頭)
 と、発情回数が増えるたびに発症確率急激に高くなるとのデーターの報告があります。
実際、アメリカと日本に暮らすメス犬を比べると、早期の避妊手術がよりずっと多いアメリカの犬のほうが乳がんにかかる割合は低いようです。


乳腺腫瘍とはどのような病気なのでしょうか・・
乳腺腫瘍は、良性の乳腺腫瘍と、増殖すれば命にかかわりる悪性腫瘍、つまり乳がんとがあり、犬の場合、良性腫瘍と悪性腫瘍(乳がん)の割合は約50%ずつといわれています。それら乳がんのうち、すぐに命にかかわるほど急速に増殖し、体のあちこちに転移する、極めて悪性度の高い悪性がんの割合は約50%、つまり全乳腺腫瘍の4分の1前後といわれています。

今回は、(3)に当てはまりますが、2回目の発情を完全に起こさなければ若干、発生率が低下すると思い、発情兆候がある状態でしたが、手術直前の血液凝固検査で異常なしを確認後して避妊手術を行いました。

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高齢猫の頚部の腫瘍摘出

雑種雌猫

21歳後半の高齢猫 以前から首の頚部にシコリがあり 出血を繰り返し、患部を消毒してても化膿し始めたので手術をする事になりました。既往症としては、5年前から現在まで甲状腺機能亢進症とそれに起因する高血圧症があり甲状腺抑制剤と血圧の薬を内服しています。

事前検査では、レントゲン検査、血液検査とも炎症の数値以外は異常なく手術を実施しました。

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上:手術の際の写真 手術では、ラジオ波メス、シーリングシステムを用いて20分弱の麻酔時間で終了しました。麻酔の覚醒も全く問題なく 高齢と甲状腺機能亢進症に伴う高血圧を考えて当日退院としました。

その後の病理組織検査では、扁平上皮への分化を伴う基底細胞癌でした。
これは皮膚の基底細胞から発生する基底細胞癌で、猫では比較的よくみる腫瘍です。表面は潰瘍を形成するのが一般的で、浸潤性増殖を呈しますが、腫瘍の挙動としては完全切除で良好な予後が得られることが多い低悪性度癌との事でした。

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上:3週間後の傷口の写真 一部にカサブタがあるがあります。
悪性腫瘍かつ高齢なので皮膚の再生に時間がかかりましたが、皮膚は綺麗になりました。
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出血により貧血を併発した肛門周囲腺上皮腫

16歳のシーズが、以前からある肛門付近の腫瘤から出血して困ると連れて来られました。
聞くと数件の病院で手術を断られたとの事。当院の患者さんの紹介で少し遠方から来院されました。
手術前の血液検査(血球検査、生化学検査、炎症の検査)、レントゲン検査では、心臓雑音(levine 5/6 強い心雑音)、貧血あり その他異常なしでした。

血球検査;
赤血球数399万(正常値550-850万) 
ヘモグロビン9.1(正常値12.0−18.0) 
ヘマトクリット値28.1(正常値37.0−55.0)
腫瘤表面からじわじわと出血があり、このままではあと数週間で貧血による心不全で亡くなる可能性があり、手術を行うことをお勧めしました。

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上:強いぼかし画像 腫瘤表面はでこぼこした凹凸があり一部から出血があり離れていても膿の悪臭がある。
2日後の手術直前の検査では、血液の凝固検査は異常なしも、2日間に消炎剤、止血剤投薬していましたが貧血の数値は低下していました。(以下)

血球検査;
赤血球数344万(正常値550-850万) 
ヘモグロビン8.0(正常値12.0−18.0) 
ヘマトクリット値24.3(正常値37.0−55.0)

手術では、ラジオ波メス、シーリングシステムを用いて出血をさせないように手術を実施しました。

下:ぼかし画像 手術後の手術部位の画像  細いワイヤーにて肛門嚢の開口部を確認している。傷口は、肛門近くなので、皮膚に糸を残さないように、吸収性縫合糸にて埋没縫合を行いました。腫瘍が大きく、切り取り部分が不均一なので縫合部分に凹凸がある。

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その後の病理組織検査では、肛門周囲腺上皮腫と言う腫瘍でした。
肛門周囲腺上皮腫は低グレード悪性と理解されています。完全切除で予後良好ですが、稀にリンパ節に転移するケースもあるようです。

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上:手術後、12日目の手術部位 ほとんど綺麗になりました。傷口の右に肛門がある。
便の出も問題なく、温存した肛門腺も異常なく縫合部の皮膚の凹凸もほとんどありません。
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雄犬(去勢済)の肛門付近の腫瘍摘出

11歳の雑種雄犬(去勢済)が、肛門部左の腫瘤が徐々に大きくなってきたとの主訴で来院しました。その後、最初小さかった腫瘤が徐々に大きくなってきました。その間、2回に渡り細胞診をしましたが、2回とも腫瘍性の疑いは少ないとの結果でしたが、アポクリン腺癌など悪性腫瘍を疑い(アポクリン腺癌は、針での細胞診で分からないケースが過去にあった)摘出手術を実施しました。

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上:麻酔下での腫瘤の画像 右側には縫合にて一時的に閉鎖した肛門があります。


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上 強いぼかし画像:ラジオ波メス、シリーングシステムで用いて腫瘤を徐々に掘り下げて摘出している画像
この部位は非常に血管が多く、通常のメスでは出血が多く縫合糸で血管を結紮するケースが多い部位ですが、1本の縫合糸も使わずに出血をコントロールして腫瘤を摘出できました。その分、手術時間も短縮できました。


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上 強いぼかし画像:画像は、手術で摘出した腫瘤 腫瘤はかなり深い部位までありました。
病理検査では、良性の肛門周囲腺腫でした。
通常、肛門周囲腺腫は、去勢していない雄犬に発生するケースがほとんどですが、稀に今回のように去勢済の雄犬や雌犬にもごくまれに発生します。
また、通常、肛門周囲腺腫は、良性腫瘍なので徐々に大きくなりますが、今回のケースでは最初数ミリだったのが、2か月半で約6cmまで大きくなり結果的には手術が必要でした。

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上:手術後直後の傷口
肛門部の近くなので、手術部位は縫合糸は体表に残さず、埋没縫合にしました。

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上:手術後10日後の画像 画像の中央黒いシミの左側が傷口ですが、ほとんど分からない程度に綺麗に癒合しました。
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幼若犬の橈骨尺骨骨折

生後、5か月弱のプードルが前肢に痛みがあると連れれ来られました。

レントゲン検査では、橈骨尺骨骨折がありました。

下:前肢のレントゲン写真 橈骨尺骨骨折
  前肢の中央やや遠位で2本の骨が骨折しているのが分かります。

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犬は、まだ若く骨は成長中の状態なので、プレートで固定してしまうと骨の成長を妨げてしまい、左右の前肢の長さに差が生じてしまうので、プレートでなくピンによる固定を選択しました。

下:橈骨尺骨骨折をピンで固定した写真
  犬は幼若なので骨の骨髄腔はなくドリルで骨髄腔を作りピンを挿入しました。

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その後は、プレート法と違いピンによる固定だと骨の安定性に欠けるので外固定を併用して骨折の治療管理を行いました。その後、約5週間で挿入したピンを除去しました。

下:挿入したピンを除去した直後のレントゲン写真

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骨折した橈骨部は、若干の隙間があるように見えますが、骨は完全に癒合しております。
また、尺骨骨折の方は、橈骨がピンで固定されているので正常な部位に移動して完全癒合しております。
 
約5週間後のピン除去後に犬の歩行は、正常でジャンプ様の動きもありましたが、念のためあと10日間はケージレスト(檻の中で生活)をしてもらいました。
その後、全く問題なく完治しました。
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小型犬の橈骨尺骨骨折

久々に橈骨尺骨骨折がありました。

ポメラニアンが階段から落ちて前肢を痛がっていると連れて来られました。
レントゲンを撮影すると以下のように前肢の橈骨尺骨が2本骨折しているのが分かりました。

写真下:骨折した骨のレントゲン写真
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痛みどめの処置、腫脹緩和の治療を行い後日、手術を実施しました。

下:手術中の写真  骨折端が確認できる
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この骨折では、色々な手術法があります。
1)外固定のみで手術をしない
2)骨の髄内ピン挿入 (骨が成長中の幼若犬では選択するケースがある)
3)プレートにて骨折部分を固定
4)創外固定にて骨折部分を固定
1)だと癒合不全を起こす可能性があり  2)だと小型犬の骨が細く太いピンが使用できず強度に不安 また横の安定性に欠け癒合に時間がかかる
獣医療の理想的には、3)4)が良い方法と思います。
3)を選択しました。 骨折部分から近位3穴、遠位3穴で合計6穴のプレートを装着できたので安定すると思われます。 *4穴プレートでは安定性にやや欠ける

写真下:手術後のレントゲン写真(縦方向)
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写真下:手術後のレントゲン写真(横方向)
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手術としては、2本の骨のうち橈骨を固定することにより尺骨も正常な位置に移動して自然に2本の骨が癒合するという手術法です。
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犬の蕁麻疹

12歳のダックス 飼い主の方が家に変えると以下のように顔にみみずばれ(蕁麻疹)となり慌てて連れて来られました。特に変わったものを与えたことはなく、薬の投薬歴もなし、その間は室内だけで外界との接触はなし、室内に観賞用植物もなし 原因不明

下:病院に連れてこられた時の写真
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アレルギーの薬を注射すると4時間程度で若干の発赤はありますが、以下のように急激に改善しました。

下:治療後 4時間後の写真
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みみずばれ(蕁麻疹)と腫脹した部位は薬物、化学物質、何らかの食物摂取、虫刺され、太陽光に対するアレルギー反応でも起きます。通常はアレルゲン(抗原)への暴露から20分以内に起こります。
みみずばれはアナフィラキシー反応の最も軽度な型で小さな腫瘤が皮膚にできます。しばしば痒みを伴います。腫脹は顔面に最もよく認められ、特に口唇、鼻、眼の周辺が顕著です。
今回のように原因がはっきりしないケースも稀にあります。
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犬の口腔内腫瘤摘出

ダックスフントが口の中に何かシコリがあると連れてこられました。

下:手術前の写真 口腔中のしこり
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現時点では、しこりから出血したり痛みがあったりすることはありませんが、今後大きくなると色々と支障をきたす場合も想定できるので、検査目的にシコリを切除しました。

下:切除後の写真
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手術は、ラジオ波メスの凝固モードで腫瘤周辺を切除しました。予想に反してほとんど出血はありませんでした。その日のうちに退院としました。

下:切除したしこり
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病理組織検査では、臨床的にエプーリス(歯肉腫、歯根茸腫)と呼ばれている反応性の病変が認められました。構成する細胞には異形成(悪性の所見)はなく、骨形成性エプーリスに相当する増殖性の病変で、悪性所見はありませんでした。
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3000年08月01日

高齢犬の尻尾にできた腫瘍

12歳 雑種雄犬の尻尾に以前からある腫瘤が破裂したとの主訴で連れて来られました。
見ると、尻尾の付け根付近にある腫瘤の一部が破裂を起こしていました。出血は治まっているようなので細胞診を実施し、検査結果が出るまでは感染と出血の管理を約1週間行いました。

下:破裂を起こした尻尾にできた腫瘤
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細胞診の検査結果は、肛門腺由来の腫瘍との結果でした。
検査では直ちに悪性と判断される異型性は強くないとの事なのでマージン(皮膚切除)はぎりぎりで切り取ることにしました。

下:手術中の腫瘍を切除後の画像
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皮膚の緊張を緩和する処置を施して、皮膚はなんとかギリギリで縫合可能でした。手術で摘出した腫瘤は、病理組織検査結果では肛門周囲腺腫でした。表皮は限局性に潰瘍化しており多発性の壊死巣があったようでした。腫瘍は完全に切除されているとこ事でした。また、再発予防で去勢手術も同時に実施しました。

下:摘出した腫瘍
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その後、抜糸時には皮膚の癒合はまったく問題ありませんでした。
肛門周囲腺腫は、肛門周囲以外にも尻尾の付け根にできるケースも多々あります。男性ホルモンが関与していると言われるので去勢手術を同時に実施するのが一般的です。
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前肢の指先端部の肥満細胞腫(悪性)の手術

約12歳のシーズーの前肢先端に小さなシコリができてここ2か月で徐々に大きくなってきたと連れて来られました。針による吸引細胞診の検査では肥満細胞腫の腫瘍との結果でした。
肥満細胞腫は、犬では手術で摘出が必要な悪性腫瘍です。また患部は非常に出血しやすい部位です。それに肥満細胞腫はヘパリン様物質(血液をかたまらせない物質)がでるので経験上、四肢先端部の肥満細胞腫の手術は電気メスだけの手術、レーザーメスだけの手術では手術後に出血が続いてしまいます。よって次の2種類の医療器具を使って手術を行いました。最初にラジオ波メスにてまず全周を皮膚切開し、次に皮下識を分離して腫瘍下方の周囲をシールドシステムで「シールドして切る」「シールドして切る」を繰り返してほとんど出血させずに腫瘍を切除しました。

下:腫瘍を摘出した後の画像  ほとんど出血させずに腫瘍摘出
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また、患部は大きく切除できない部分なので以下の処置を施しました。
腫瘍切除のマージン(腫瘍との境界)は短いので再発率を低下させるために、残した部分をシールドシステムで細胞破壊とラジオ波メスの先端をヘラタイプに変えて細胞破壊を行いました。

下:肥満細胞腫切除後にシールドシステムで回りの細胞を破壊して再発させないような処置をしました。
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下:肥満細胞腫切除後にラジオ波メスのヘラタイプで回りの細胞を破壊して再発させないような処置をしました。
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皮膚は吸収性の縫合糸で埋没縫合を行いました。

下:下:摘出した肥満細胞腫(悪性腫瘍)
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高齢猫の甲状腺摘出手術

12歳の雑種猫(雌)がワクチンと健康診断で連れて来られました。
体重が、やや減少しており各種血液検査で甲状腺機能亢進症があるのが判明しました。
その後甲状腺剤の投薬を開始し、投薬後のホルモン数値も正常値になり体重も増えてきましたが、しばらくすると右側の甲状腺がやや腫大しているのが定期検査で確認できました。甲状腺の細胞診を実施すると甲状腺癌の疑いが強いとの検査結果だったので右側甲状腺摘出手術を実施しました。

下:麻酔後、手術前の仰向け頚部画像 矢印は腫大した右側甲状腺
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下:手術中の甲状腺手術部位 矢印は腫大した右側甲状腺
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下:手術で摘出した右の甲状腺
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手術後は、血中Ca値濃度などをチェックして退院となりました。
その後の甲状腺ホルモン値を順次チェックしました。

病理組織検査結果所見:甲状腺癌
検索した範囲内では脈管侵襲性は見出されませんでしたが、局所再発の可能性は否定できませんとの事。

私見:小さいうちに摘出手術できれば再発の可能性は少ないと思われます。
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犬の上腹部にできた巨大嚢胞

約14歳半 柴犬 8kgの避妊メス犬が、食欲がない、腰の痛みがあると連れて来られました。身体検査では発熱、血液検査では強い炎症反応が見られました。その後の超音波検査で左上腹部に大きな嚢胞が形成されて中に液体貯留があるのが分かりました。

下:腹部超音波検査 左上腹部 超音波検査では黒いのは液体貯留。
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他の超音波検査所見では胆嚢正常、左右腎臓は正常 液体貯留がどこの臓器に発生したのか分かりませんでした。
抗生剤などを使用して後日、発熱がやや改善した時点で試験開腹を実施しました。
試験開腹を行うと大きな嚢胞が見つかりました。粘膜は非常に固く、まずは穿刺して中の液体を吸引しました。

下:穿刺して排液した大量の液体 ほとんどドロっとした膿でした。写真
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全て穿刺して嚢胞を見ると粘膜は厚くて後方に小腸がつらなり、胃の一部に嚢胞が形成され中に膿瘍ができたみたいで非常に珍しい症例でした。近くを観察すると腫瘍などはなく、一部粘膜から飛び出しそうな少し固い物?がありました。メスで小切開すると簡単に取り出せました。

下:取り出した異物らしきものは何かの軟骨?のようなものでした。
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推測:何か食べたものが、胃の粘膜下に入り込み嚢胞を形成してその中が化膿したようで非常に稀な症例でした。粘膜が穿孔していたら腹膜炎を起こしますが、その一歩手前の状況でした。

分泌物は検査センターに依頼して細菌感受性試験を実施しその後は経過良好でした。。
抜糸時に同じ部位を超音波で検査すると全く異常なし 血液検査でも炎症の数値は正常でした。

その後は、定期的に腹部超音波検査、血液検査で炎症反応はなく経過良好で体重も増え完治しました。
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小型犬の胃内毛球症

ヨークシャテリア 2歳 3kg 1週間前から元気なし 昨日から嘔吐数回 食欲はあると来院しました。血液検査では、肝機能、膵機能上昇 単純レントゲン検査では異常ありませんでしたが超音波検査で胃内に何かあるようなので胃内異物を疑いました(超音波検査で確定診断はできない)。その日は午後だったので、入院 静脈点滴 後日、消化管造影検査を実施しました。

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次の日のレントゲン造影検査では、胃内に何かあるような陰影像が造影剤投与 直後、5分で僅かに観察されましたが、15分、30分、60分、2時間の画像では異常所見は無くなり造影剤の胃や腸での通過時間は正常でした。

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1日目の超音波検査や2日目の胃の造影検査で胃内に何か異物がある可能性が否定できないので、その日のうちに麻酔下で内視鏡検査を実施しました。内視鏡検査では、胃内異物がすぐに確認できました。異物鉗子で取り出そうとしました(写真画像)が、異物が大きすぎて胃の噴門から食道に通過させられませんでした。よってそのまま麻酔下で内視鏡処置から開腹手術に切り替えました。

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開腹手術で取り出されたものは、上の写真のような輪ゴム2個に毛が絡まり大きな毛球(動物の毛と人の毛)でどうみても内視鏡で摘出は無理な大きさでした。

今回の場合、いきなり試験開腹手術を実施するより、まず内視鏡で取り出せるものは取り出す。どうしても無理な場合に手術を実施するように、内視鏡検査右矢印1開腹手術の順に手技を進めていく必要があると思います。

消化管内異物では、今回のように事前検査で確認できないケースはよくある事です。単純レントゲンで全てが写し出されるわけではありません。
posted by サム at 05:07| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

猫のヘモプラズマ症

6歳の雄猫が、食欲不振、元気なしで連れて来られました。
身体検査で、発熱(T40.5 )、重度貧血(ヘマトクリット値:16% 猫の正常値37%)、軽度黄疸がありました。
その他、猫白血病ウィルス検査:陰性  猫免疫不全ウィルス検査:陽性でした。

血液塗抹検査で赤血球表面に何かの原虫がいるような所見があったので、血液検査で猫ヘモプラズマ検査を行いました。(検査センター依頼)

下:血液塗抹標本 (×1000倍)
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後日、検査結果では猫ヘモプラズマが陽性でした。

猫ヘモプラズマ症は赤血球寄生性の微生物(最近まではヘモバルトネラと呼ばれていた)の感染によって発症する病原体です。猫伝染性貧血とも呼ばれることもあります。
猫ヘモプラズマは血液の赤血球に寄生することにより赤血球が壊され、溶血性貧血を引き起こします。
猫免疫不全ウィルス陽性で白血球が4000程度しかなく、猫ヘモプラズマ症を発症したようでした。

よって、猫ヘモプラズマ症に効く薬の内服を開始しました。
長期間の投薬により発熱、貧血は徐々に改善し、薬なしでも大丈夫な状態に回復しました。
体内からヘモプラズマの完全な根絶は難しいようで免疫力の低下により再発する場合もあるようです。
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猫の瞬膜にできた腫瘍

10歳の雑種猫が、右眼の内側にある瞬膜(第3眼瞼)がだんだんと眼球を覆ってきたという主訴で連れて来られました。抗生剤、消炎剤の点眼に反応は無く瞬膜は1-2週間で徐々に大きくなり眼球の約80%を覆うようになりました。急速に大きくなってきたので悪性腫瘍を疑い、細胞診を行わずすぐに瞬膜切除術を行いました。

下:麻酔中の写真 瞬膜が眼球を覆っているのが分かる この瞬膜を根本から切除しました
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下:眼球を消毒して滅菌布を覆い瞬膜切除を行う前の画像
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下:切除した瞬膜 瞬膜は根本部分も太くなっており何かの悪性腫瘍が疑われました。切除した組織は検査センターに依頼
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病理組織検査では、悪性腫瘍(局所のリンパ腫の可能性?)との診断結果でした(他の体表リンパ節には異常なし)。
病理組織検査所見では、核分裂像は高倍率10視野あたり38個で悪性腫瘍の疑いが強い結果でした。
その後、リンパ腫の確定と免疫表現型の決定には免疫組織化学染色が有効なので行いました。
結果はリンパ腫でした。

手術後は、目を覆っていた瞬膜がなくなり見えるようになり特に問題はないようでしたが、その後、瞬膜周辺は再び大きくなりましたが、ある種の薬剤の投薬で以下のように小さくなりました。当初は眼圧も上昇して眼圧を下げる点眼も必要でしたが、現在は点眼は必要なくなりその薬剤の投薬で様子観察の状況です。

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腸閉塞の症例

3歳6か月のジャックラッセルテリアが急な嘔吐で連れて来られました。
触診で上腹部に何か柔らかいものが触知されましたが、単純レントゲン検査、血液検査では異常がなく、取りあえずは様子観察としました。嘔吐が継続するようなら入院にて詳しい検査が必要な趣旨を説明しました。

その後、嘔吐が継続するようなので消化管造影検査を実施しました。
造影剤投与で腸から3時間で大腸まで造影剤は通過しましたが、一部の造影剤は7時間でも胃に停滞しており何らかの通過障害があると思われました。

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上下のレントゲンは、造影剤投与7時間後のレントゲン写真です。
造影剤は、一部大腸まで到達しているが、一部は胃に残っている状態。

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その日のうちに試験開腹を実施しました。すると小腸の胃側 4分の1あたりに以下の異物が閉塞していました。

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滅菌布から腸を取り出し、感染予防で腸の左右に湿らせたガーゼを置いています。

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切開した腸は、異物を摘出した後に吸収性縫合糸で閉鎖しました。

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異物は、何か長方形のゴムのようなものでした。このようなゴム製の異物は通常のレントゲンでは確認できません。形が長方形だったので隙間から一部の造影剤は通過して大腸まで到達してしまい診断を難しくしていました。
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3000年07月01日

雄猫の両側性の停留睾丸(陰睾丸)の摘出手術

雄の犬猫では通常は生後2か月までに睾丸は陰嚢内に下降します。もし生後2か月で睾丸が正常な位置に無い場合、潜在睾丸(陰睾丸)の疑いが強くなります。潜在睾丸では、お腹の中に残るタイプと鼠径輪から外に出るが正常な部位に移動せずに皮下に残るタイプがあります。まれにその中間の鼠径輪に引っ掛かりある部位が分かりにくいタイプもあります。潜在睾丸の発生率では犬1.2%、猫1.7%。犬では右側の睾丸の方が左側よりも2倍発生頻度が高く、猫では左右での発生頻度鵜は同じだと言われています。

スコテッシュホールド 雄 9か月齢が去勢希望で連れて来られました。9か月齢で皮下の脂肪も多く、また大きな猫種なのか触診では何回触っても左右ともに睾丸の確認はできませんでした。当日に麻酔下でもう一度触診して無い場合は、開腹手術になる趣旨を説明しました。

下:麻酔後の下腹部の写真 見た目では左右の睾丸はありません。
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麻酔下で少し強く圧迫しながら触診を行うと皮下の下の筋肉層に何かの小さなMassが僅かに確認できました。
術中超音波で確認後に、左のMassのある部位を注意して小切開すると睾丸が見つかり摘出手術を行いました。
右も同様に注意深く探索するとやっと確認でき同様な処置を施しました。

下:手術後の写真 傷口は最小限で切開摘出をしました。開腹手術せずにすみました。
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下:摘出した左右の睾丸 左右ともに睾丸は通常のサイズに比べて 1/4〜1/5程度に小さくなっていました。
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通常の部位に移動しない睾丸はかなり小さいサイズになっているケースがほとんどです。
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犬同士の散歩での咬傷事故

2015年になってここ3か月以内で、犬の散歩時に偶然に出会った犬同士がジャレあっていて急に噛まれる咬傷事故が3例ありました。普段は大人しい犬も何かの拍子に怒って咬傷事故に発展するケースがあるのでリードを引っ張る飼い主の方はお互いに十分に注意をして下さい。1例は内科治療、1例は局所麻酔で簡単な縫合処置、1例は傷が大きく全身麻酔で手術になりました(以下)。

ヨークシャテリア 1Y 散歩時に中型犬に噛まれたと病院直前に連れて来られました。
見ると口唇部に大きな裂傷があり緊急手術を実施しました。

下:麻酔後の写真(全体像) 口唇部に裂傷があるのが分かります。
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胸部、腹部レントゲン検査 CBC,生化学検査を実施後、外傷性のショック予防のため静脈点滴をしながら手術を実施しました。

下:麻酔後、手術前の写真(局所)
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皮膚は一部欠損しており一部口唇ラインが湾曲しましたが、軽度なので毛が生えれば見た目では怪我があるかどうかは分からないと思います。縫合は吸収性縫合糸で埋没縫合を行いました。

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その後、傷口は綺麗になりました。口を閉じた時に一部隙間はありますが、食事や水を飲む時にこぼれることもなく生活上は問題なく生活できているようです。外見も毛が生えればわからなくなると思います。
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胃の綿状異物の症例

3kgの小型犬が、車での移動時に黒色の異物を一度吐いて、再びそれを食べてしまったという主訴で連れて来られました。その時以外は特に消化器症状はないとの事。吐かせる治療をしましたが異物を嘔吐する事はできませんでした。後日、食事を抜いて連れてきてもらい単純レントゲン、超音波検査を行いました。レントゲン検査では異物は写りませんでした。

下:空腹時の胃の超音波検査では異物の時に見られるリングダウンアーチファクトが確認できました。
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内視鏡では、胃内に何かの異物はありましたが大きすぎて胃の噴門を通過できず摘出できませんでした。
その日の夜に手術で異物の摘出手術を実施しました。

下:手術中の画像 麻酔、開腹後、胃を腹腔から少し出して2か所の支持糸で吊り上げている画像 シコリはかなり大きく一塊になっていました。胃切開で摘出しました。術野の回りは湿らせたガーゼを覆っています。
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下:摘出した綿状異物 大きさ的に胃の噴門を通過できる大きなではありませんでした。どうも同じような異物を過去にも摂取していてそれら異物が胃内で絡まり一塊りになったようでした。
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その後、2日入院して退院しました。経過良好でした。

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猫の乳癌の2症例

犬と違って猫の乳腺にできた腫瘍は、ほとんどが悪性の乳癌です。また、犬と違い猫では、小さいうちに手術を行っても数か月〜長くて2年の間に再発するケースがほとんどです。手術に関しては、この点を飼い主の方に説明した上で手術を行うのが非常に重要だと思います。

症例1)
10Y以上(年齢不明)のメスの雑種猫が急に乳腺が大きくなり分泌物がでていると連れて来られました。一部の乳腺は大きく腫大して中に液体が貯留していました。

下:麻酔後の患部の画像
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血液検査、レントゲン検査で異常がないのを確認、また手術をしても再発することを説明した上で手術を実施しました。今回のケースでは、このままでは腫大した乳腺は破裂を起こしてしまいQOL(生活の質)の低下にもなり手術を行った方がいいかと思われます。

下:手術後の患部の画像  消毒後の写真画像(茶色は消毒液)です
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シコリのある部位を全て手術にて切除しました。手術はラジオ波メス、シーリングシステムを使用したのでほとんど出血はなし 太い血管の結紮もなし 術後の疼痛は少ないように感じました。翌日退院。



症例2)
11Yのメスのロシアンブルーが腹部に数センチ大の塊りがあると連れて来られました。
早速、針による細胞診を行い、検査センターに検査を依頼しました。後日の検査では、乳腺癌でした。犬の乳腺癌は手術で完治するケースもありますが、猫では手術をしても再発率が非常に高い(ほとんど再発してしまう)悪性腫瘍です。飼い主の方には、手術をしても再発することを説明した上で手術に同意して頂きました。

下:悪性腫瘍の画像
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各種血液検査、胸部レントゲン検査で異常なし、飼い主の方と相談をして手術を行う事になりました。

下:手術中のシールドシステムによって乳腺摘出している画像(ぼかし画像)
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手術では、非常に再発の多い腫瘍なので再発を遅らせるために、皮膚はラジオ波メスを使い、皮下識はシールドシステムを使い、ほとんど出血をさせず(出血により腫瘍細胞が散らばるのでなるべくさせない方がよいという考え)に患部の根本から深く大きく腫瘍+5乳腺を摘出できました。またシールドシステム使用のため糸を使った血管の結紮縫合は1本もなく、そのため手術後の痛みは少なく全体の手術時間もかなり短縮できました。

下:手術後翌日の画像
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手術では、第1乳腺〜第5乳腺まで全て摘出。
手術翌日は痛みはほとんどなく、食欲もあり経過良好でした。
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犬の膝蓋骨脱臼の手術

小型犬では、後肢の膝蓋骨が内側に脱臼しやすい子が多数います。
膝蓋骨脱臼は、4段階のグレードに分けられます。
グレード1:脱臼しても自然と正常な状態に戻ることが多く、無症状。
グレード2:時々脱臼した足を浮かせて跛行しますが、簡単に整復でき、日常生活にそれほど大きな支障なし 一部で放置すると、骨が変形、靭帯が伸びるなどしてグレード3に進行
グレード3:脱臼していることが多く、整復してもすぐに脱臼した状態になるため、一部で痛みあり
グレード4:常に脱臼している状態となり、元に戻すこと(整復)ができず、X脚様の歩行だったり痛みを一部で慢性の痛みを伴う
膝蓋骨脱臼は、様々な犬種で発生しますが、特にトイ・プードル、ポメラニアン、ヨークシャー・テリア、チワワ、マルチーズなどの小型犬によく見られます。

膝蓋骨脱臼は多くの小型犬が持っているケースがあり全てで手術が必要なことはありません。特にグレード1はよくある事です。グレード1グレード2のケースと以下1)2)3)に当てはまらないケースでは手術は必要ないでしょう。
1)慢性の痛みが継続するケース、繰り返しの痛みが起こる場合
2)脱臼する際に何か衝撃がかかるような外れ方をするケース
3)膝蓋骨の外れている変位のズレが大きく(グレード4)歩行が明らかにおかしく場合では手術を行う場合があります。

8Y パピオンが左足の疼痛で連れて来られました。触診ではグレード3〜グレード4の膝蓋骨脱臼がありました。2)3)に当てはまるケースでした。レントゲンでは膝蓋骨が内側に大きく変位しており、歩く際の姿勢も明らかにX脚様なので、今後の進行を考え手術をお勧めしました。
下:レントゲン写真 矢印は脱臼した膝蓋骨
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手術で関節包を開けると膝の滑車溝は浅く膝蓋骨は先天的に脱臼しやすいようでした。
関節内の前十字靭帯は異常ありませんでした。
下:膝の関節を開けて骨を露出したところ 矢印は膝蓋骨が内側に大きく脱臼している部位
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手術では3種類の方法を併用して膝蓋骨を整復する方法を行いました。
下:手術後の写真
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8歳での手術だったので治癒が遅れる可能性があり心配でしたが、抜糸の時には普通に歩いていました。自宅では飛び跳びはねることもあるそうで経過良好でした。
posted by サム at 05:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする