3001年10月01日

猫の乳腺腫瘍(乳癌)の片側全乳腺摘出術

12歳7か月 3.6kg の雌猫が乳腺にしこりがあると連れて来られました。
生後、1年時に避妊手術はしているそうです。
細胞診を実施すると後日の検査結果では、細胞の大小不同やN/c比のばらつきなどの細胞異型性がみられ、乳腺癌を強く疑うとの検査結果でした。
血液検査、胸部レントゲン検査を行い麻酔可能なのを確認して後日手術を実施しました。

下:麻酔後、手術前の患部の写真 第1〜第2乳腺付近に直径2.5mmのしこりがあります。 左が頭側、右が尾側
P1010003.jpg

下:手術で乳腺腫瘍とともに第1〜第5乳腺を大きく摘出 左が頭側、右が尾側
P1010005.jpg

手術では、第2乳腺の腫瘤がある部位は筋肉層まで深く広く乳腺とその周囲物を摘出しました。また、再発予防のためにシーリングシステムを使い出血をさせない手術を行いました。患部は摘出後には洗浄液で念入りに洗浄を行いました。

下:手術後の患部の写真 左が頭側、右が尾側
P1010011.jpg

手術は、ラジオ波メス、シーリングシステムを使用しました。シーリングシステムを用いると手術時間は大幅に短縮でき、また手術後の痛みはかなり軽減されます。
後日、退院としました。

その後の病理組織検査では乳腺単純癌でした。腫瘍の大きさは実測で0.6mmでした。

*犬と猫の乳腺腫瘍と避妊手術の関連性(以下)
  犬では・・ 
  1回目の発情の前に避妊手術を行うと乳腺腫瘍の発生率は0.5%(200頭中1頭)
  1回目発情あり 2回目の前に避妊手術を行うと乳腺腫瘍の発生率は8%(100頭中8頭)
  2回目発情あり 避妊手術を行うと乳腺腫瘍の発生率は25%(100頭中25頭)との報告がります。
  犬では乳腺腫瘍が発生した場合、良性と悪性の比率は約50%ずつ。さらにその悪性のうちの約50%は転移性しやすいタイプだと言われています。犬では小さいうちに早期に手術をすれば予後は良好な場合が多いです。

  猫では・・
  生後6か月前に避妊手術を行うと乳腺腫瘍の発生率は9%(100頭中9頭)
  生後6か月〜1年の間に避妊手術を行うと乳腺腫瘍の発生率は14%(100頭中14頭)との報告があります。
 
 犬では適切な時期の避妊手術により乳腺腫瘍の発生を大幅に少なくします。 
 猫では乳腺腫瘍が発生した場合、90%以上は転移性の非常に高い悪性の乳腺癌です。猫では小さいうちに早期に手術をしても再発の可能性は大ですが早期に大きく切除すると延命効果はあると思われます。





posted by サム at 01:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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