3001年09月01日

猫の乳腺腫瘍(乳癌)の片側全乳腺摘出術

12歳11か月 4.1kg の雌猫が乳腺にしこりがあると連れて来られました。
生後、6か月時に避妊手術はしているそうです。
細胞診を実施すると後日の検査結果では、細胞の大小不同などの細胞異型性が、中程度に認められ乳腺癌を強く疑うとの検査結果でした。
血液検査、胸部レントゲン検査を行い麻酔可能なのを確認して手術を実施しました。

下:麻酔後、手術前の患部の写真 第5乳腺付近に直径7mmのしこりがあります。上が頭側、下が尾側
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下:手術で摘出した第1〜第5乳腺と第5乳腺付近にあった腫瘤 右が尾側側の第5乳腺
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手術では、第5乳腺の腫瘤がある部位(上写真の右側)は筋肉層まで深く広く乳腺とその周囲物を摘出しました。また、再発予防のためにシーリングシステムを使い出血をさせない手術を行いました。患部は摘出後には洗浄液で念入りに洗浄を行いました。

下:手術後の患部の写真 左が頭側、右が尾側
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手術は、ラジオ波メス、シーリングシステムを使用しました。シーリングシステムを用いると手術時間は大幅に短縮でき、また手術後の痛みはかなり軽減されます。
後日、退院としました。

*犬と猫の乳腺腫瘍の予後 手術だけで治癒した猫の平均生存期間は、10〜14か月であると言う報告があります。腫瘍の大きさ手術後の予後に大きく関係し容積が9cm3以下では18か月、10〜27cm3では12か月、27cm3以上だと7か月だと言う報告があります。

 猫では乳腺腫瘍が発生した場合、90%以上は転移性の非常に高い悪性の乳腺癌です。猫では小さいうちに早期に手術をしても再発の可能性は大ですが早期に大きく切除すると延命効果はあると思われます。

病理組織検査所見)乳腺単純癌
標本上では腫瘍細胞の明らかな脈管内浸潤は認められず、鼠径リンパ節への転移巣も認められませんでした。
標本上では完全切除されています。猫の乳腺癌は完全切除でも再発、転移を起こしやすい腫瘍なので今後は経過観察が必要です。
posted by サム at 09:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

犬の犬歯4本切断+去勢手術+デンタルケアー

雄のダックスフント7歳半が去勢手術希望で連れて来られました。

飼い主の方に事情を聞くと、過去に何回も犬に噛まれた過去があり去勢をすると多少性格が温和になるかと思い来院したとの事でした。最近、同居犬もこの犬に噛まれた事で非常に怯えるようになってしまったとの事・・。

できれば、万が一に噛まれた際に飼い主の方と同居犬の受傷の程度を軽減する目的で去勢手術のついでに犬歯4本の切断処置をお勧めしました。犬歯を途中で切断すれば細い先端がなくなり犬歯の先端は丸い面になり受傷を軽くします。

下:切断した犬歯4本の写真
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歯の根本で切断すると歯髄炎を起こすので起こさない部位で切断する必要があります。切断後は、歯髄がない部位なのを確認、切断後は特殊な光で固められる歯科用液で歯の周囲を3重にコーティングしました。

下:切断後の写真
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まずは去勢手術を行い、その後に口腔内の歯石を取り、口腔内を綺麗にしてから切断処置を行いました。
犬歯を切断しても普段の生活では支障なく、見た目もほとんど外見では分かりません。
噛み癖のある犬では時として有効な方法です。

posted by サム at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

犬の後眼窩膿瘍+乳腺腫瘍摘出+デンタルケアー

13歳 ダックス 雌 が左目下の膿が(他院での治療で)良くならないと連れて来られました。
各種色々な検査では、後眼窩膿瘍だと思われました。
まずは内科治療をしてそれでも再発の場合は抜歯処置が必要になる趣旨を説明しました。
血液検査では炎症の数値が、非常に高い(CRP 20 以上測定不能 正常値は1以下)ので、内科治療はせずに麻酔下での抜歯をお勧めしました。 

*後眼窩膿瘍とは・・・
上顎の奥歯に前臼歯と言う歯が左右にあります。この歯は非常に大きく歯の根元が3本あり犬種によっては非常に根元が深い歯です。この歯の根元が化膿(歯根膿瘍)を起こすと膿は口腔内ではなく上顎の皮膚に瘻管をつくり目の斜め下に膿が溜まります。飼い主は目の下が腫れた、目の下に膿が溜まるようになったとの主訴で来院するケースがほとんどです。

後日、全身麻酔で原因と思われる歯を抜歯しました。その後ろの歯も炎症があり2本、抜歯しました。

下:抜歯した歯
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また乳腺の一部に乳腺腫瘍があり乳腺腫瘍とその近くの乳腺とその前後の乳腺を切除摘出しました。

下:ついでに摘出した乳腺腫瘍と乳腺
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次の日に退院としました。

下:手術翌日の写真
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暫くすれば、患部は良くなると思います。

その後の病理組織検査では腫瘍は良性の乳腺腫でした。
posted by サム at 07:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

雄猫の膀胱結石症

9歳の雄猫が血尿、頻尿で連れて来られました。
超音波検査で膀胱内に1個の結石がありました。レントゲン検査では僅かに画像上描写される程度ではっきりとは写らず結石の密度はあまりないタイプの石のようでした。

下:超音波検査で確認された膀胱内の結石 
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超音波検査では、はっきり分かる結石1個とかなり小さな結晶が数多くありました。

抗生物質などの治療で血尿、頻尿が落ちついたところで手術を実施しました。

下:手術中の写真
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手術では、膀胱切開して結石を取り除き膀胱内を確認しましたが,そのほかの異常はありませんでした。

下;摘出した膀胱結石
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結石は金平糖のような形状をしており、手術をしないと再び膀胱炎(血尿、頻尿)が再発したと思われます。
posted by サム at 06:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

急性の胃拡張胃捻転症候群

約15歳 ダックスが昨夜からおう吐、涎れ、お腹が膨れていると連れてこられました。

身体検査で若干の低体温、元気消失を確認。血圧は正常。血液検査で肝機能の中程度上昇、炎症値の上昇を確認しました。レントゲン検査では、腹腔内でガスを含んだ胃が大きく拡張して大部分を占めており、胃拡張・胃捻転症候群を疑わせる所見でした。血圧は正常だったのでショック状態には陥っていないようでした。

下:来院時のお腹が膨れた状態の時の腹部レントゲン画像 ラテラル像(横) 左が頭側
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下:来院時のお腹が膨れた状態の時の腹部レントゲン画像 VD像(仰向け) 上が頭側
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胃拡張・胃捻転症候群とは・・・
胃拡張・胃捻転症候群になると、吐こうとしているのに何も吐けず、よだれを大量にたらすようになります。また、元気がなくなってくるとともに次第にお腹がふくれてきて、呼吸が苦しそうになり、沈うつ状態となってきます。胃のねじれや拡張が進行すると、脾臓もねじれたり、大静脈や門脈が圧迫されて胃や心臓に血液が行き渡らず、胃の壊死や心筋虚血を起こし、ショック状態に陥ります。このため治療が遅れると、死に至ることが多くあります。
犬種では、コリー、ボルゾイ、シェパードなど胸の深い大型犬で多く見られますが、ダックスフンド、ペキニーズ、コッカー・スパニエルなど、小型犬や中型犬でも見られることがあります。

今回の症例ではのレントゲンでは、胃はかなり拡張していました。手術する方法もありましたが、取りあえず静脈確保しての点滴をしながら、特別な保定法を使って胃管チューブを口から挿入して拡張した胃から大量のガスと大量の液体内容物を出す事ができました。(犬は鎮静注射せずに、大人しく処置できました。)

下:2時間半後、処置後の腹部レントゲン画像 ラテラル像(横)  左が頭側
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胃内のガスは少なくなり一旦改善したように思われました。

下:2時間半後、処置後の腹部レントゲン画像 VD像(仰向け)  上が頭側
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犬は、その日のうちに退院としました。
再発が多いので、翌日に来院してもらい、胃の拡張のないのを確認しました。
但し、血液検査では拡張した胃の圧迫によるものか、かなりの肝機能上昇があり肝臓の治療が必要でした。

数日後に再度、来院して血液検査をすると肝機能は改善していましたが、今度は胆汁系の酵素がひどく上昇しており別の治療が必要になりました。その後、約3週間の内科治療で肝胆系酵素は改善しました。
大きくなった胃により周辺の臓器に異常が生じたためだと思われます。

食事に関しては、発症後、最初は、胃はかなり拡張して胃粘膜は伸びているので食事は、通常の 1/4 から初めてもらい1週間かけて徐々に増やすように指示し調子は良くても食事回数を1日4回にしての再発予防が今後も必要になります。

その後、再発もなく経過良好です。
posted by サム at 05:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

犬の瞬膜(第3眼瞼)にできた腫瘤

8歳半 柴犬 左目の内側にある瞬膜(第3眼瞼)にしこりができ、目の瞬膜が一部突出すると連れてこられました。点眼薬などいろいろと内科治療をしても効果がありませんでした。
診断としては当初はチェリーアイだと思われ手術を実施しました。

チェリーアイとは・・・
チェリーアイ(第三眼瞼腺逸脱)は、第三眼瞼腺という涙を作る役割をもつ腺組織が、瞬膜の縁を越えて外に飛び出してしまう病気です。 飛び出した第三眼瞼腺は、炎症を起こして丸く腫れ上がり、サクランボのようになることから「チェリーアイ」と呼ばれています。

手術には、1)逸脱したシコリを非吸収性縫合糸で内側に縫い付ける方法 と 2)瞬膜ごとシコリを切り取る方法があります。
結果的には、瞬膜はそのままで その場の判断でシコリのみを切除しました。
理由は、麻酔下で瞬膜を反転してみたら少しだけシコリの位置が通常のチエリーアイとは違っていたからです。

下:切除したシコリ
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その後の病理組織検査では、良性の脂肪腫でした。チェリーアイではありませんでした。
普段の外観は、どう見てもチェリーアイでしたが・・・写真撮影しておけばよかった!
瞬膜に脂肪腫ができた珍しい症例でした。
posted by サム at 03:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

犬の肥満細胞腫摘出手術

11歳の雄の柴犬の後肢にしこりができてここ2か月で大きくなってきたと連れて来られました。
院内の細胞診では、肥満細胞腫だと思われました。

下:院内での細胞診の顕微鏡写真(×1000倍)
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腫瘍の穿刺した細胞診では多数のMast cell(肥満細胞)がスライド上に多数ありました。

一応、検査センターにも細胞診を依頼してもらいましたがやはり悪性の肥満細胞腫でした。
再度、来院してもらい血液検査、レントゲン検査(胸部、腹部)異常なしを確認して後日手術を実施しました。

下:麻酔下、患部の写真 腫瘍は約20mm×30mm
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悪性腫瘍である程度の大きさがあったのでマージンは大きく切除しました。
また、悪性腫瘍なのでなるべく出血をさせないよう、また腫瘍下は筋肉も一部含めて大きく切除しました。

下:手術後、患部の写真
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左右の睾丸の大きさが2倍程度違うので腫瘍の可能性もありついでに去勢手術も実施しました。
また、顔の小さなしこりも含めて同時に3か所の手術を行いました。
翌日に退院としました。

その後の病理組織検査:
❶左臀部の腫瘍は肥満細胞腫でした。patnaikの分類法(T低グレード、U中グレード、V高グレード)では、Uグレードでした。犬の肥満細胞腫のうち約80%はUグレードです。生存中間値では、Vグレードでは4か月以下、Uグレードでは2年以上。

❷睾丸の腫瘤は、右睾丸はセミノーマ、ライディヒ細胞腫、セルトリ細胞腫の3種類が、左睾丸にはセルトリ細胞腫で確認されました。今後の注意が必要です。

❸口横の腫瘤は、皮脂腺腫でした。良性腫瘍です。
posted by サム at 02:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

犬の後眼窩膿瘍

11歳 ダックスフント 右眼の下の皮膚が腫れ、前日に破裂して膿が出たと翌日に連れて来られました。

身体検査では、右眼の下に開放創の傷を確認しました。後眼窩膿瘍だと思われました。飼い主は1回での完治を希望したので、血液検査、レントゲン検査で異常なしを確認の上、麻酔下での処置を行いました。

*後眼窩膿瘍とは・・・
上顎の奥歯に前臼歯と言う歯が左右にあります。この歯は非常に大きく歯の根元が3本あり犬種によっては非常に根元が深い歯です。この歯の根元が化膿(歯根膿瘍)を起こすと膿は口腔内ではなく上顎の皮膚に瘻管をつくり目の斜め下に膿が溜まります。飼い主は目の下が腫れた、目の下に膿が溜まるようになったとの主訴で来院するケースがほとんどです。

下:連れて来られた時の写真 右目の下に傷がある 目には異常なし
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麻酔下で歯自体には異常はありませんでしたが、傷の場所と原因と思われる前臼歯の根本は垂直にラインを想定すると一致するので歯が原因の可能性は高いと思われました。

下:麻酔下での写真 矢印が原因と思われる前臼歯
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麻酔下で前臼歯を抜歯するとやはり歯の根本は化膿しておりこの歯が原因でした。

下:抜歯した前臼歯 根本は3本ある
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抜歯した後に他の歯は、超音波スケラーで歯を綺麗にしました。
当日に退院としました。

犬では、口の中で一番大きいのは上顎の前臼歯で根本が3本あります。
歯の根本が深いので時として歯の根本が化膿して目の下に膿が移動して瘻管をつくり化膿するケースが多々あります。内科治療で良くなるケースもありますが、再び再発する場合も多いです。
posted by サム at 01:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする