3001年08月01日

犬の膵炎と脾臓腫瘤の併発症

14歳1か月 雄 ジャック・ラッセルテリア

1週間前からの食欲廃絶と元気消失、嘔吐で連れて来られました。

血液検査、レントゲン検査、エコー検査で膵炎と脾臓に腫瘤があるのが確認されました。
血液検査では、膵臓酵素の上昇(測定不能)(犬膵特異的リパーゼも著増)と炎症の数値の上昇(測定不能)が確認でき入院治療を行いました。
膵炎に関しては、4日間入院でその後、退院としました。その後、膵臓に関しては臨床症状など改善傾向がありましたが、炎症の数値は完全には正常値にはなりませんでした。炎症の数値の上昇は、膵臓だけではなく脾臓にある腫瘤も関連があると考えました。
また、今回の調子が悪いのは膵炎がメインだと考え、膵炎の治療だけを行い、脾臓の腫瘤に関しては調子の良いところで開腹手術をお勧めしました。

下:レントゲンで脾臓の形が変形しているのが分かります。
IM-0001-1001.jpg

退院して約2週間後に元気、食欲もあるようなので試験開腹手術を実施しました。

下:手術当日の超音波検査の画像 全体の黒く抜けている楕円形が脾臓にできた腫瘤
7320-01005.jpg
大きさが、4cm大のしこりが脾臓の尾側側にありシコリには何か液体貯留を疑わせる像です。
カラードップラーでは血流はそれほど多くはなく脾臓に強い炎症があるように思われます。
手術当日の血液検査でも炎症の数値は内科治療をしているにもかかわらず継続して高い数値 CRP18 (正常値1以下) を示していました。

下:手術中の写真 脾臓の裏側
P1010002.JPG
脾臓の裏に大きなシコリがあり破裂寸前でした。

脾臓は血管豊富な臓器です。脾臓にこのような大きなシコリがある場合、発見が遅れると腹腔内で破裂して大量出血して突然死する可能性が高かったと思われます。

下:手術中の写真 脾臓の表面
P1010007.JPG
脾臓の表のシコリは過去に小さく穿孔したのか、シコリに腹膜が大きく癒着していました。(画面右側)

下:摘出した脾臓腫瘤の拡大写真 破裂寸前みたいでした。
P1010011.jpg

手術後、翌日に退院としました。

その後の病理組織検査結果では、非上皮性腫瘍病変(肉腫)でした。今後は、肝臓を初めとした腹腔内の長期的なモニターが必要です。
また、膵臓は症状はなく食欲・元気はありますが、膵臓の数値は高い状態が継続しており現在、薬内服により月1回の診察中です。
posted by サム at 09:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

眼瞼の腫瘍摘出手術

10歳半のコーギー 左目の結膜炎で連れて来られました。
目の上眼瞼に眼球側に小さな腫瘤がありました。眼球の角膜に常に接しており慢性の結膜炎の原因の可能性もあり腫瘤の摘出手術をお勧めしました。

血液検査、レントゲン検査で異常なしを確認の後に手術を行う事になりました。

下:麻酔中、手術前の患部の画像 
P1010004.jpg

希望により、手術後に麻酔している状態で歯石除去とぐらついている歯を4本抜歯しました。

下:手術後、その日の写真
P1010012.jpg

抜糸の必要のない方法で手術を行いました。傷口はほとんど分からないと思います。
翌日、退院としました。
posted by サム at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

猫の大きな卵巣に水腫が生じた例

7歳の雌猫が発情を繰り返すと連れて来られました。
血液検査、レントゲン検査で異常なしを確認して後日、卵巣子宮摘出術をすることになりました。

下:手術中の写真
P1010003.JPG

ある程度の卵巣の水腫を予想していましたが、猫にしてはかなり巨大になり水腫は破裂寸前でした。

下:手術で摘出した右側の卵巣と水腫の写真
P1010007.jpg

その後の病理組織検査では、卵巣嚢胞との結果でした。卵巣の嚢胞は非腫瘍性病変で予後は良好です。
posted by サム at 07:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

1個の結石で再発を繰り返した雄ネコの尿路閉塞症

7歳の去勢雄猫が尿が出ないと連れて来られました。
排尿できなく急性腎不全に陥っており3日間入院して点滴とペニスより導尿留置処置を行いました。
カテーテル導尿する前のエコー検査では3mm前後の結石が1個と1mm以下の小さな結石が多数ありました。
3日間、静脈点滴と導尿カテーテル留置により腎機能は正常に戻りました。

その後、退院しましたが数日後、再びは排尿困難で来院。今回は、カテーテルにより水圧をかけて尿の閉塞は簡単にカテーテルですぐに解除されました。尿道に結石が詰まっているかどうか分からない程度の力でカテーテルは膀胱に入りました。(入院せず)

そのあと、3週間ぐらいは経過良好でしたが再び尿がでないと連れて来られました。
前回同様にペニスよりカテーテルを導尿留置、静脈点滴をしました。導尿後の超音波検査では、前回あった膀胱内の3mm程度の結石は膀胱内にはありませんでした。入院中に毎日超音波検査を行っていましたが尿道カテーテル装着後も膀胱内の3mm程度の結石はありませんでした。

入院4日目に超音波検査を実施すると再び膀胱内に結石が1個ありました。大きさは同じ3mm程度。
たぶん尿道とカテーテルの隙間に数日間あったものと推測。

下:レントゲン検査で膀胱内の結石1個が発見された画像
IM-0001-1001a.jpg

今回の排尿困難は1個の結石が原因だと考え、翌日に手術で膀胱内の結石を除去することにしました。

次の日に手術前に超音波検査を実施すると膀胱内の結石は再び姿を消して膀胱内にはありませんでした。ペニスから膀胱までカテーテルが入っているにもかかわらず尿道に移動していました。

下:カテーテルが入っているにもかかわらず尿道内に移動した膀胱結石
IM-0001-1001b.jpg
下:拡大写真(上と同じ写真)
IM-0001-1001b - コピー.jpg
*矢印(結石1個)の下の白いものは他院で行われた去勢の後の(金属製)縫合糸

手術前にカテーテルを引き抜きペニス側から水圧で尿道内の結石を膀胱に押し戻して膀胱切開で1個の結石を摘出しました。

下:膀胱に尿道用内視鏡を入れて(膀胱内にあるカテーテルを抜きながら)逆行性に進められるだけ尿道の異常を確認している動画


下:膀胱に小切開をした画像
P1010001.jpg

膀胱に小切開をしてピンセットで膀胱内の結石を除去した。

下:カテーテルがあるにもかかわらず尿道に移動した膀胱結石
P10100060.JPG
カット綿に対してこの大きさ、かなり小さい結石です。

下:上の写真を拡大したもの
P101000600.jpg

考察)
1つの3mmの結石が尿道の太さと合致し膀胱からペニスの間の尿道に完全に詰まり尿閉(力んでも排尿できない状態)に陥ったようです。
ペニスから膀胱まで尿道カテーテルを入れていると通常は膀胱内の結石は尿道に入り込まないものと理解していましたが、この症例ではカテーテルがあっても尿道に結石は移動するようでした。

その後の経過は良好でした。
posted by サム at 06:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

犬の子宮水腫の症例

ダックスフント 雌

他の疾患で各種検査を実施したら偶然に子宮水腫が発見されました。子宮蓄膿症では、元気消失、食欲減退などの症状が起きますが、水腫では子宮内で炎症はなくエコー検査でも液体はサラサラしており、血液検査でも炎症の数値はまったく上昇していませんでした。
今後、子宮が徐々に大きくなり破裂の可能性、また過去にそのままにしていたら子宮蓄膿症になった例もあり2週間以内の手術をお勧めしました。

下:手術中の写真 約2週間後に手術を実施しました。
P1010005.jpg

子宮はある程度大きくなっていましたが、手術後の状態は問題ありませんでした。

下:子宮を穿刺したシリンジの写真
P10100022 - コピー.jpg

穿刺すると液体は無色透明でした。やはり子宮水腫でした。
手術翌日に退院しました。
posted by サム at 05:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

メス犬の巨大膀胱腫瘍の摘出

11歳3か月 6.2kg 避妊メス 偶然に他の疾患で各種検査を実施したら膀胱の前方(頭側)に巨大な腫瘤がありました。血液検査では、貧血、炎症、腎機能に異常はありませんでした。症状としては、数ヶ月前から頻尿がありましたが血尿はなくその症状での診察はありませんでした。

下:レントゲンCR画像 ラテラル像(横向き)
IM-0001-2002.jpg
腹部に大きな腫瘤があるのが分かります。膀胱の前方にあります。
超音波では、膀胱内部の粘膜層には異常はありませんでした。膀胱に隣接するように腫瘤はありました。

その後、検査センターでCT検査をして頂きました。

下:造影CT検査 緑色の大きいのが腹部にある腫瘤
c-abd 5min.jpg
検査センターのCT検査では膀胱の頭側側に巨大腫瘤があり腫瘤は結腸、膀胱、小腸、脾臓、腹膜と接しているが境界は比較的明瞭であるとの所見でした。また腫瘤は左右の尿管に隣接しており手術の際には注意が必要との所見でした。

下:腫瘤に癒着した脾臓、腸間膜を剥離して腫瘤と膀胱を腹腔から外に出した写真
P1010012.jpg
下の左右の矢印は膀胱部分です。その他大きい部分は腫瘤です。当初、腫瘤に膀胱が取り巻くように癒着していると思っていましたが、膀胱の一部が腫瘍化したものでした。よって腫瘤摘出により膀胱には大きな欠損(開口)部分ができてしまいました。

下:膀胱にできた腫瘤を摘出した後の膀胱の写真
P1010015.jpg
左側の上下の矢印は膀胱に繋がる左右の尿管です。 CT検査では腫瘤は左右尿管を巻き込んでいないのを事前に分かっていましたが、CTでは膀胱腫瘍だとは分かりませんでした。(検査センター所見)
膀胱の写真の右側は手術で膀胱の一部が無くなり開口しています。

下:腫瘤摘出で開口した膀胱を再建しているところの写真
P1010016.jpg

その後の経過は良好でした。
翌日、元気食欲はあり、血液検査では異常ありませんでした。

膀胱にできる腫瘍は一般的に悪性度の高い移行上皮癌が多いのですが、今回の症例には血尿などの症状はなく頻尿のみが数か月続いていました。手術後に残存した膀胱の粘膜には肉眼的に異常はなく、粘膜に広がるように異常が生じる移行上皮癌ではなく筋膜固有層に生じる平滑筋肉腫ではないかと予想されました。

下:摘出した膀胱腫瘍 ホルマリン漬けにして翌日に撮影したもの
P10100010.JPG
病理組織検査に郵送するためホルマリンに1日漬けて半分に切って郵送しました。

病理組織検査では、やはり平滑筋肉腫でした。高分化型平滑筋肉腫との所見でした。
再発予防のため抗がん剤療法をお勧めしました。

手術後、しばらくして(膀胱が伸び大きくなったのか)頻尿もなくなり経過良好だそうです。

3か月後の超音波検査でも再発なく経過良好でした。
posted by サム at 03:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

予防的に片側乳腺全摘出術を行った雌犬の例

13歳半 雌のダックスフント

約9か月前に乳腺腫瘍で左側の乳腺+腫瘍を摘出している 病理組織検査では第5乳腺付近のシコリが一部、低悪性度だった。その他は良性乳腺腫だった。
約7か月前に子宮蓄膿症で卵巣子宮を摘出。

今回、第5乳腺のあった場所(既に左側の乳腺は全て摘出されており無い)よりも下方向の部位に乳腺腫瘍再発した。事前の細胞診では乳腺癌の可能性ありとの結果。
今回、その部位を拡大手術するついでに右側の異常のない乳腺(1〜5乳腺)が今後、乳腺腫瘍や乳癌の発生の可能性を考えて予防的に右側片側乳腺全摘出を実施した。

手術は、ラジオ波メス、シーリングシステムを使用することで時間短縮して約60分程度で終了した。
高齢のではあったが麻酔時間短縮で麻酔の覚醒は非常に良かった。またシーリングシステムを使用した
事で患部の痛みはほとんどないようだった。

下:手術後の患部の写真
P1010009.JPG

手術翌日に退院しました。
posted by サム at 02:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

高齢犬の大きな鼠径ヘルニア

13歳半 チワワ 雌 以前から鼠径ヘルニアがあり最近大きくなってきたと連れて来られました。

下:レントゲンCR検査 腹部に大きなヘルニアがあるのが分かります。
unnamed.jpg

今後、膀胱が飛び出すと緊急疾患になる可能性もあり手術を勧めました。
ヘルニアはかなり大きいですが、癒着はないようで圧迫するとヘルニア内容は腹部に戻すことができる状態でした。

下:手術中の写真
P1010004.JPG

ヘルニア嚢を腹腔に戻しヘルニア門を確認し、ヘルニアの中央に糸を通し持ち上げているところの画像。


上:ヘルニアすべてを縫合で閉じたところの写真
P1010006.JPG

ヘルニア内容物は大きかったですが、すべて腹腔内に戻すことができ癒着もなく手術は難しくはありませんでした。

下:皮膚縫合後の写真
P1010008.JPG

傷口も小さくすることができました。

手術後に低酸素でしばらく酸素吸入 その後2時間ぐらいICUに入れましたが、その後の経過は良く翌日に退院としました。
posted by サム at 01:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする