3001年05月01日

犬の乳腺部に液体貯留を伴った腫瘤の摘出手術

11歳9か月のコーギー 雌がフィラリア予防に来院しました。
身体検査で左の第2乳腺部分が大きくなっており(35mm×55mm)、穿刺処置で大量の液体が貯留していました。シコリの触診では、液体貯留とともに数cmのやや固い腫瘤もありました。
乳腺部分の腫瘍または乳癌を疑い、細胞診検査を検査センターに郵送しました。

麻酔できるかどうかの血液検査、レントゲン検査も当日に行いました。(特に異常なし 麻酔処置OK)

後日の細胞診検査結果では、多量の変性物および変性細胞成分の出現 乳腺の複合腺腫や混合腫瘍を疑うとの所見でした。

画像:麻酔中手術前の写真
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約10日後に手術を実施しました。液体貯留と伴った腫瘤は、前回穿刺して一旦は小さくなったものの再び同じ大きさになっていました。手術では、ラジオ波メス+シーリングシステムを用いて出血のない短時間の手術を実施しました。

画像:麻酔中手術中の写真
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手術では、腫瘤周辺と腫瘤の深部に血管が多数あったので細胞診では悪性所見はありませんでしたが、悪性の可能性もあると考え切開は前後の乳腺も含め大きく、深部は皮下織は筋肉まで深く切除しました。

画像:摘出した腫瘤の写真(液体貯留はそのまま摘出)
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腫瘤の中には大量の液体貯留がありましたが、液体はそのままにして摘出をしました。
また、今回の腫瘤以外に頭側に脂肪の塊り(脂肪腫のような)もあり、それもついでに切除しました。

画像;手術後の患部の写真
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手術後は麻酔の覚醒も良く特に問題はありませんでした。
翌日の午前に退院としました。

手術の際に腫瘤の内部に液体貯留があり腫瘤の下部組織には血管が多くあったので悪性の乳癌を疑いましたが、病理組織検査では炎症のあるものの比較的良性の乳腺腫との結果でした。同じ部位での再発は少ないとの所見でした。
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尻尾にできた肛門周囲腺腫の手術


尻尾の根本の背側部にシコリがあると来院されました。
肛門周囲腺腫を疑い細胞診を実施しました。

下:尻尾に背側部にできた腫瘤
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後日の細胞診では、肛門周囲腺腫の可能性、若干、肛門周囲腺癌の可能性もあるとの検査所見でした。

通常は、肛門周囲にしこりができるケースがほとんどですが、稀に尾部にできることもある腫瘍です。
肛門周囲の場合は、去勢+腫瘍摘出を行いますが、今回の場合は尾部なので切除すると皮膚欠損が生じるので去勢手術+患部のバイオプシーを行いました。

下:去勢した左右の睾丸
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尻尾尾部の病理組織検査所見:尻尾にできた腫瘤は良性の肛門周囲腺腫でした。去勢手術で90%以上は退縮するとの事でした。よって去勢手術のみで、その腫瘍はそのまま放置にしました。

下:その後の写真
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抜糸の際にシコリは小さくなっておりそのまま退縮すると思われました。
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ダックスフントの歯石除去+抜歯 が連続しました。 

またダックスの歯石除去+抜歯が連続でありました。
ダックスが高齢になり歯のトラブルが増えています。

●症例1)M.ダックス オス 14歳11か月
3年半前に麻酔下で歯石除去+抜歯をした既往歴があり
今回、口腔内の一部の歯から出血があると来院
血液検査、レントゲン検査で異常なしを確認 後日全身麻酔で処置を行いました。

下:麻酔下、処置前の写真
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下:麻酔下、処置後の写真
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下:抜歯した歯
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3年半前の時は犬歯にグラツキがあり抜歯しましたが、その際に患部と鼻より大量出血あり。今回は犬歯にグラツキはなく犬歯抜歯は必要ありませんでした。


●症例2)M.ダックス メス 12歳5か月
口臭が酷いと来院 
血液検査、レントゲン検査、心電図検査で異常なしを確認 後日全身麻酔で処置を行いました。

下:麻酔下、処置後の写真
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下:抜歯した歯
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麻酔下で犬歯をチェックすると2匹とも犬歯にはグラツキはなく犬歯の抜歯は必要ありませんでした。犬歯の抜歯は大量の出血を伴うことがあり完全麻酔下で行うのが通例です。ついでに時々自分で掻いて出血あるようなので首にできた良性腫瘤(パピローマ:乳頭腫)も手術摘出しました。


●症例3))M.ダックス メス 15歳 2か月
以前から口が臭い、口から出血がある、前肢で口を気にしてしまう、涎れが多いとの主訴で連れて来られました。
血液検査では、中程度貧血と軽度の腎不全がありました。

下:麻酔中の画像
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麻酔当日は、十分に静脈点滴を行い 麻酔前と麻酔後の腎機能検査を実施しました。
麻酔中のレベルは通常よりもかなり低い濃度を維持され麻酔の覚醒も悪かったですが当日退院としました。
その後経過は良好なようです。

下:抜歯した歯
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歯はかなりの本数にグラツキがあり抜歯を行いました。

貧血に関しては、慢性的な口の中の出血で貧血が起きているのか、腎不全からの貧血なのか現時点では不明。
今後継続した治療が必要です。

ダックスでは、他の犬種に比べて高齢になっても歯が抜けず、全身麻酔で歯のケアーを行うことが多くあります。
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雄犬の包皮先端部分にできた巨大腫瘤

ボーダーコリー 雄 9歳1か月 が狂犬病ワクチン、フィラリア予防で連れて来られました。
身体検査で腹部のペニスの出口の包皮の皮膚に大きな腫瘤がありました。このシコリは2−3か月前にもあったが急激に大きくなっているとの事でした。

細胞診検査では、肉芽腫性炎症でしたが大きさが6cm前後だったので、これ以上大きくなると手術できなくなるので摘出手術を実施しました。
術前の血液検査、レントゲン検査、血液凝固検査、心電図検査異常なし。

下:麻酔して手術前の写真 腫瘤の頭側から撮影 矢印は包皮口
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写真上の摘まんでいる部分は全て腫瘤です。
矢印は、包皮の開口部分(このなかにペニスがあり尿がでるところ)です。

下:麻酔して手術前の写真 腫瘤の尾側側面から撮影
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腫瘤は包皮の先端部分に大きくなってしまっていました。

手術では、包皮の出口と包皮内側を温存させながら腫瘤を丁寧に切除しました。ラジオ波メスにて皮膚切開、分離、大きな血管はシーリングシステムを用い、切除過程で結紮糸は1本も使用せずに切除しました。腫瘤摘出後は、包皮部分を吸収性縫合糸で内反させながら形成手術を行いました。

下:摘出した腫瘤
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摘出した腫瘤は、一部で太い栄養血管様の動脈、静脈があり腫瘍の可能性も否定できませんでした。

皮膚は吸収性縫合糸で埋没縫合を行いました。
手術後は、患部の腫脹があり2日間、腫れを抑える治療をした後、退院としました。

下:手術直後の患部の写真
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その後の病理組織検査では線維付属器異形成という非腫瘍性の増殖性病変でした。
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ウサギの皮膚疥癬症

ホーランドロップ種 雄 約7Y

最近、背中の皮膚にフケが多いと連れて来られました。
特に痒みはないとの事でしたが、皮膚の場所によっては多量のフケが付着していました。

皮膚の毛検査を実施すると多数のダニの卵が顕微鏡で観察されました。

下:顕微鏡写真(×400倍) ダニの卵
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卵はほとんどが内容物のない(抜け殻)でしたが、一部に内容物のあるものもありました。(上の写真)

ダニは皮膚の中に寄生するので毛やフケには成虫はいないと思われます。
全体を観察すると1匹だけ幼ダニと思われる死がいが観察されました。

下:顕微鏡写真(×400倍) 幼ダニ
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治療は、定期的に通院してもらダニを駆虫することで完治します。
通常は3回または4回の通院が必要です。

ダニは、形態からウサギ特有のウサギキュウセンヒゼンダニだと思われました。
このダニは、宿主特異性は高く、ウサギにしか感染しないようです。
卵➡幼ダニ➡前幼ダニ➡中若ダニ➡後若ダニ➡成ダニの発育環は21日を要するようです。

高齢なので血液検査も実施しましたが、血糖、腎臓、肝臓、黄疸、貧血、炎症は問題ありませんでした。
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高齢犬と高齢猫の子宮蓄膿症

2日連続で高齢な犬と猫の子宮蓄膿症の手術を実施しました。

症例1)13歳 ダックス 雌
外陰部からオリモノが出ると来院
血液検査、レントゲン検査、超音波検査で子宮蓄膿症と診断
その日のうちに手術を実施しました。

下:手術中の卵巣子宮の画像 
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子宮は、かなり大きくなっていました。

下:手術後の写真
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3日間、入院して点滴後、血液検査で内臓の異常を確認して退院しました。


症例2)
11歳 チンチラ 雌
外陰部からオリモノが出ると来院
血液検査、レントゲン検査、超音波検査で子宮蓄膿症と診断
その日のうちに手術を実施しました。

下:手術中の卵巣子宮の画像 
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3日間、入院して点滴後、血液検査で内臓の異常を確認して退院しました。

避妊手術をしないと将来的に発情後に子宮内に炎症が起き、子宮蓄膿症になる可能性がかなりあります。
2例とも手術で完治しましたが、連れて来られる時期が遅いと亡くなることもある病気です。
子宮蓄膿症の予防としては、やはり避妊手術を行うことが一番です。
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唾液腺切除術が必要だった犬の症例

ヨーキ 雄 12歳9か月

頸部に液体が貯留して皮膚が裂け来院➡外科的ドレナージ+内科的治療で改善➡改善後に内服をやめると再び皮膚裂傷が生じる・・。を3回繰り返した症例です。薬を長期内服でも薬をやめると再発するので唾液腺切除術を行いました。

下:下顎腺をカプセルごと牽引分離している画像
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その後、下顎腺のカプセルを切開して中の下顎腺とそれに続く舌下腺を分離切除。

下:口腔内の小さくなった嚢胞の画像
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舌の根本側面の嚢胞は、手術直前まで内科的治療をしていたので小さく萎んでいました。その嚢胞に関しては造袋術を実施しました。舌なので強い出血がある場合もあるのでシーリングシステムを部分的に応用しました。

下:摘出した下顎腺と舌下線
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下:抜歯した上顎の奥歯(臼歯)
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ついでに口腔内の感染予防として、ぐらついていた上顎の左右の臼歯を抜歯と超音波スケラーで残った歯を綺麗にしました。

犬の唾液腺は、耳下腺、(単口部)舌下腺、下顎腺、頬骨腺がおもに唾液を分泌し、その他に多口部舌下腺、臼歯腺があります。唾液が漏れると頸部とか舌の側面などが腫れてしまいます。頸部に漏れた場合は頸部唾液腺貯留嚢腫、舌が腫れた場合はガマ腫と呼ばれています。稀に、頸部の嚢腫はありますが、悪くもならず、良くもならずと慢性の経過をたどり自然に腫れはなくなり手術が必要になる例はほとんどありません。

posted by サム at 02:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

犬の異物性急性膵炎

2歳6か月 6.6kgのフレンチブルが昨日から今日にかけて5回吐いたと連れて来られました。
過去に異物摂取歴はあるものの、今回は異物摂取したかどうかは不明との事。
血液検査では、膵臓の数値、炎症の数値が測定不能になるほど上昇していました。また、レントゲン検査では、胃に大量のガスが貯留していました。

その後、絶食で急性膵炎の治療をしました。

翌日には膵臓の数値は1/3以下に、炎症の数値も1/2以下に低下し膵炎は改善していました。また、入院後に嘔吐は1回もありませんでしたが一応、造影剤の通過試験の検査を行いました。

下:(入院翌日)単純レントゲン写真(造影剤投与する前)
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前日にあった胃中のガスはほとんどなくなっていました。異物の異常所見はなし。

下:(入院翌日)造影剤投与後30分のレントゲン写真
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造影剤投与30分後、胃の中の造影剤は小腸に流れ通過障害はありませんでしたが、一部胃の中で何か真っ直ぐな線らしきものが観察されました。

下:(入院翌日)、造影剤投与後60分のレントゲン写真
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造影剤投与して1時間、多くの造影剤は小腸まで移動しており通過障害は全くありませんでしたが、やはり30分と同じ場所で残った造影剤と何か?の(微妙な)残存像が観察されました。
その後3時間程度で全ての造影剤は無くなり胃腸における通過は犬にしては非常に早すぎる感がありました。

その日の午後にほんの少量の食餌を与えると食欲は旺盛で吐き気はありませんでした。

入院3日目の午前の血液検査では、膵臓の数値、炎症の数値も2日目よりもさらに改善しており、本日退院しても良い状態でしたが、レントゲン造影検査で若干の異常所見から内視鏡の検査を行いました。

下:内視鏡動画 胃のあった異物の一部 

麻酔下での内視鏡検査では、胃の幽門部に何かあまり大きくない紐状異物がありました。それを内視鏡鉗子で引っ張っても全く除去できないので内視鏡での摘出はあきらめてすぐに開腹手術を行いました。

下:手術中の写真
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開腹手術を行うと、胃の幽門〜十二指腸に紐状異物があり、なかなか引っ張っても摘出できませんでしたが、時間をかけて何とか手術で摘出できました。

下:手術で摘出した異物の塊りの写真
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手術後に摘出した直後の異物の塊りです。いろいろなものが紐に絡み合っていました。

下:摘出した異物を分けて洗浄しての画像
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摘出した異物を分けて洗浄するとは繊維系の異物?と青い装飾物?と凹んだペットボトルのフタとプラスチックのかけら約8個でした。

胃から十二指腸にかけて紐状異物があり、2次的に十二指腸に隣接する膵臓に炎症を起こしたものでした。
造影検査では、特に通過障害はなく状態も良く退院できる状態でしたが、検査自体100%正確なものはなくどうしても胃の中の異常所見が気かかり麻酔下で内視鏡検査 ➡ 内視鏡でも異物除去(できず)➡ 試験開腹 ➡ 胃切開にて異物除去 に至った症例でした。

手術翌日の膵臓の検査は正常値でした。

下:異物だったペットボトルのフタの写真
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ペットボトルのフタの劣化から推測するとかなり以前に誤飲したようでした。胃内にあったこの異物が数日前に幽門に移動して詰まったようでした。詰まったペットボトルの隙間から造影剤が流れてしまい検査上は造影剤の通過に関しては異常なしだったようです。飼い主の異物摂取の確認が聴取できない時には診断を難しくします。膵炎が起きたのもこの異物が原因だと思われました。

その後の経過は良好で5日で退院しました。
posted by サム at 01:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする