3001年02月01日

食欲廃絶の原因が1本の歯が原因だった犬の症例

13歳のプードルが、3日前から食欲が全くないとの主訴で連れて来られました。
問診では、特に目立った症状も無い状態でした。

まず行った血液検査では、血糖値、腎臓、肝臓、膵臓、電解質、血球検査など特には異常ありませんでしたが、炎症の検査であるCRP検査のみ20以上で測定不能(正常値は0〜1)でした、どこかに強い炎症があるのが示唆されました。

もともと噛み癖があり口の中の詳細な観察はできませんが、若干口内に痛みがあるようでした。特に、口から出血、涎れの症状はありませんが、歯が原因の可能性があると思われました。

歯以外に炎症を起こしている可能性を排除するために、胸部、腹部のレントゲン検査を行いましたが、特に異常はなかったので、その日のうちに麻酔して口内をチェックすることにしました。

麻酔して、口内を調べると左の一番奥の歯が少しグラツキがあり、抜歯をしました。抜歯した歯根部分には多少の膿が観察されました。

下:抜糸した歯の写真
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その日のうちに退院としました。犬は、その日帰ってからすぐに食欲は戻ったとの事でした。

痛みや痒みは、それぞれの動物でかなり個体差があります。この子は痛みに非常にデリケートなタイプだったようです。歯の根本が化膿して歯根部の神経刺激が原因で食事ができなくなってしまったようでした。
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頸部の原因不明な化膿性炎症

ヨークシャテリア 12歳半 オス(心臓病で薬を数年前から内服)が、首から出血という主訴で連れてこられました。

見ると首には、化膿、裂傷がありました。歯とは、離れた場所で歯が関連しているとは考えらずまた、1匹のみの飼育で犬や猫との接触もなく、原因不明でした。

血液検査では、中程度の白血球増多とCRP(炎症の検査)が19でした(正常値は1以下)。

下:患部(首の部分)の写真 連れてこられた日のバリカンで毛を刈った後の患部  大きく裂傷がある

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傷口の周辺の皮膚は固く盛り上がり砲台状の形状、一見、腫瘍性のような感じでした。一部の皮膚は、血色が若干黒ずんでいるので2日間は、傷口は開放のままにして1日に何回も洗浄、消毒を繰り返しました。

下:局所麻酔にて傷口を縫合した後の患部(首の部分)の写真 周りが砲台状に固く盛り上がりがある
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3日目に、周りに皮膚の血色が改善してきたので患部を縫合閉鎖しました。
通常なら全身麻酔、ドレナージ設置が必要ですが、心臓病があるので局所麻酔での簡単な処置にしました。

砲台上の皮膚は腫瘍の疑いもあり、左右上下方法から4枚、穿刺吸引標本を作製して細胞診を検査センターに送りました。

下:抜糸時の写真
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下矢印の抜糸部分は、傷は問題ありませんでした。
上矢印は、一部砲台したしこりはあるものの面積は小さくなり非常に柔らかい状態でした。
血液検査で炎症の数値は正常値だったものの一応あと2週間は薬を内服してもらいました。

病理検査では、腫瘍の可能性は低く、原因は不明ですが炎症性との結果でした。
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大きく肛門腺が破裂した例(猫)

猫の大きな肛門腺破裂の例

犬猫では、肛門の左右やや下方に肛門腺と言われる分泌腺があります。この肛門腺の分泌液は肛門に開口していて肛門から排泄されます。この肛門腺の分泌液の出が悪くなると肛門腺は腫れて分泌物が皮下に漏れると皮膚は化膿して皮膚に穴があきます。通常は小さな穴で抗生物質+患部の消毒処置で治癒しますが、稀に大きく皮膚が裂けてしまい手術をした方が良いと思われるケースがあります。


8歳 雑種猫 尻尾の根本を痛がると言う主訴で連れて来られました。
身体検査で左肛門腺破裂がありました。傷口は大きく、内科的な治療の選択肢もありましたが、時間がかかるのと猫は非常に痛みが激しく緊急手術を希望したのでその日のうちに手術を実施しました。

各種血液検査、レントゲン検査では異常はありませんでした。 

下:麻酔後、患部をバリカンをかけた後の写真 矢印は肛門の位置です
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傷口と肛門には僅かしか皮膚はありませんでした。

下:手術後、患部縫合した後の写真 矢印はドレナージ装着した部分
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傷口は、手術後に炎症性の漿液の排出を考え、ペンロースドレナージを装着して2日間、徹底的な洗浄をしました。2日後にドレナージは除去、その日にうちに退院としました。

下:抜糸時の写真 枠の中あたりが傷があったと思われる部分
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傷は、ほとんど問題なく完治しました。
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若い猫(避妊済み)に生じた巨大肝嚢胞

生後9か月の雌猫(避妊済み)が腹部を大きいと連れて来られました。
この猫ちゃんは、震災地域から保護されて譲りうけた猫で、既に避妊手術は行われているとの事でした。
院内の検査では、血球検査、生化学検査異常なし、ウィルス検査(猫白血病検査陰性 猫後天性免疫不全ウィルス陰性)でした。

次にレントゲン検査を実施しました。

下:レントゲン検査 腹部上腹部 右側のかなり巨大なMass病変がありました。
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次に超音波検査を実施しました。

下:超音波検査では、Mass病変は袋状の中に大量の液体貯留がありました。液体はサラッとした液体のようでした。
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すぐに入院して、その日のうちに試験開腹手術を行いました。

下:麻酔時の腹部を剃毛した時の写真
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連れて来られた猫は、腹部がかなり大きい状態でした。

手術では、肝臓の一部が膜状に巨大化して中に液体を貯留していました。膜状のものは非常に脆いものでした。

下:嚢胞内の液体を除去して小さくなった嚢胞の膜
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手術では、肝臓と嚢胞の境目をシーリングシステムで凝固切除しました。

液体は、以下のようなサラッとした液体でした。

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翌日に猫は退院としました。

その後の病理組織検査では、肝実質内にに形成された巨大化した肝嚢胞でした。明らかな炎症や腫瘍性変化は認められませんでした。DPMと言う発生期における異常だそうで非常に珍しい症例でした。

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その後、約1か月のレントゲン写真では異常所見はありませんでした。
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60個以上あった犬の膀胱結石症

シーリハムテリア 雌
血尿でに過去に来院。レントゲン検査にて膀胱結石を指摘して手術をお勧めしました。
その後、膀胱炎の治療で血尿がなくなり様子観察をしていたそうですが、その後にひどい血尿があり再び来院されました。

下:腹部レントゲン検査
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膀胱内の結石は、9か月前のそれよりも2回り以上に大きくなり、細かい結石も多数、増えているようでした。血液検査、胸部レントゲン検査を実施して3日後に手術を実施しました。

下:手術中の写真
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手術前の超音波検査では膀胱粘膜の肥厚はあまりないとの判断でしたが、手術にて開腹して膀胱を見ると膀胱粘膜はやや肥厚していました。

下:手術後のレントゲン写真
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手術後の麻酔の覚醒もよく経過良好でした。

下:摘出した膀胱結石の一部
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膀胱内の結石は大きいのが2個(22mm×21mm、22mm×16mm)あり、その他は小さいものが多数あり細かいのも含めると60個以上はありました。

結石の分析検査では、結石の成分はストラバイト結石でした。今後は食事療法が必要になります。
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2回目の右側全乳腺摘出手術(前回は左側全乳腺摘出手術 )

キャバリア 雌(過去に子宮蓄膿症で卵巣子宮摘出)僧房弁閉鎖不全症(6段階評価で2−3悪化レベル)にて心臓の薬を内服中。将来的に心臓が悪化して麻酔できない状態を予想して早期の手術をお勧めしました。

左右の乳腺にシコリがあり。前回は左側乳腺摘出を行いました。
今回は、右側乳腺摘出を実施しました。
手術前に血液検査、レントゲン検査を実施して異常なしを確認しました。

下:麻酔して片側の全乳腺を摘出しているところの画像
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今回の場合、第3〜第4乳腺の間に10mm大のしこりが、第2〜第3の間に1mm大のしこりが2個ありました。2回の手術ともラジオ波メスとシーリングシステムの使用で出血なし、手術後の痛みもほとんどなく手術は終了しました。

下:傷口を縫合後の画像
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前回の摘出した左側の病理組織検査では、一部に単純腺癌がありましたが早期の手術だったので切除後は良好な予後が期待できるとの検査結果でした。
今回の摘出した右側の病理組織検査では、

心臓病を患い薬を内服の状態でしたが、心臓に負担のかからない方法を選択したので手術後の心臓に関して特に問題発生はありませんでした。

病理組織検査:一部に乳腺癌(低悪性)はありましたが、そのほかは乳腺腫瘍(良性)で全体として予後は良好との所見でした。
posted by サム at 03:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

犬の右第1〜2乳腺、左第3〜5乳腺摘出手術+子宮内膜炎の同時手術

11歳半のプードルがお腹にシコリがあると連れて来られました。右の第1〜2乳腺と左の第3〜5乳腺に1cm大のしこりがありました。
血液検査、レントゲン検査を実施後、後日手術を実施しました。

手術は、右第1〜2乳腺、左第3〜5乳腺摘出と飼い主の方の希望により同時に避妊手術も実施しました。
開腹して子宮を見ると子宮内膜炎(軽度の子宮蓄膿ぎみ)がありました。

乳腺摘出手術の方は、皮膚切開はラジオ波メス、皮下織の切除はシーリングシステムを使い短時間で手術は終了しました。シーリングシステム使用なので血管の結紮はなく出血はなく手術後の痛みも軽減できました。

下:手術後(消毒時)の写真
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3か所の手術でしたが、傷口は2か所にしました。

翌日午前に退院しました。
posted by サム at 02:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

犬の片側全乳腺摘出手術

11歳9か月 コーギーが乳腺に腫瘤があると連れて来られました。
過去に、子宮蓄膿症の手術と右の乳腺を全て摘出手術をしています。今回は、左の乳腺に4個のしこりがありました。
血液検査、レントゲン検査を実施後、後日、左側片側全乳腺摘出手術を実施しました。

下:手術中の乳腺摘出後の写真です。ほとんど出血はなし。
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手術は、ラジオ波メス、シーリングシステムを使い短時間で手術は終了しました。シーリングシステム使用なので手術後の痛みはほとんどありませんでした。

下:手術後(縫合後)の写真です。
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翌日に退院しました。

その後の病理組織検査では、乳腺複合腺腫が2個、乳腺単純腺腫(低悪性度)1個でした。乳腺複合腺癌1個でした。鼠径リンパは著変なし。広範囲の摘出がなされており良好な予後が期待できるとの所見でした。
posted by サム at 01:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする