3000年12月01日

腹腔内で子宮破裂を起こしていた犬の子宮蓄膿症の症例

10歳4か月のアメリカンコッカースパニエルが日曜日の明け方午前6時頃にぐったりしていると夜間病院で診察を受け、その後に当院に連れて来られました。 夜間病院の各種検査では、超音波検査で子宮内液体貯留あり、また腹腔内にも液体貯留があり腹膜炎の可能性ありとの診断でした。夜間病院での血液検査では、白血球5300で低下、炎症の検査:CRP>7以上測定不能でした。

日曜日の午前11時に当院に連れてこられました。当院の検査では、白血球12400 炎症の検査:CRP>20以上測定不能(CRP専用機での検査)でした。

すぐに麻酔下で手術を行いました。開腹すると子宮の一部に穴があいて子宮内の膿が腹腔内に漏れ出しているのが確認されました。穴が開いた子宮の前後を結紮してすぐに子宮卵巣全摘出術を実施しました。手術後は、腹腔内をサクション(吸引機)にて約2リットル洗浄液で腹腔内を徹底的に洗浄を行いました。

下:摘出した子宮に穿孔(穴があいていた)していた部位の写真
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その後は、4日入院して退院しました。退院後も経過良好でした。

下:抜糸で来院した際の写真 いつもの状態になり元気があるとの事でした。
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当初、朝の6時の時点で白血球が少なく敗血症に移行する状態だったようです。夜間病院で抗生物質などの投与で5時間後の当院での検査で白血球は12400まで上昇しており、なんとか麻酔できる状態と判断。また、明日まで待つと確実に敗血症で状態悪化するとの判断ですぐに手術したのが良かったようです。

子宮蓄膿症では、なるべく早く手術を行うのが、命を救う方法です。今回のように、子宮蓄膿症(パイオメトラ)の症例のうち子宮破裂を起こしている症例が稀にあります。
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9年2ヶ月前に行った会陰ヘルニアが再発して再び手術を行った症例

ビーグル 雄 15歳 4か月
2016年 肛門の左が腫れていると連れて来られました。

過去に、左右の会陰ヘルニア手術をした犬でした。
2007年 右の会陰ヘルニア手術+去勢手術
2007年 その1ヶ月後に左の会陰ヘルニア手術      を行いました。

手術後は、排便に特に問題がありませんでしたが、9年2か月経過した今月に左の会陰ヘルニア手術部位が再発して排便に問題があり来院しました。どうもここ半年前から慢性の気管支炎があり咳こむ時があり、これが腹圧がかかり会陰部が外れた理由かもしれません。
前回の手術では、人工物を利用した方法での装着でしましたが左のみ外れており、再手術が必要でした。右は問題ありませんでした。

下:肛門左の会陰部が腫脹した写真(会陰ヘルニア再発)
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再発した場合、開腹して直腸固定、膀胱固定の方法が現在では一般的ですが、犬が高齢のためなるべく短時間の手術を考慮して開腹せずに患部だけの手術を選択しました。

9年前に装着した人工物を除去して患部を洗浄後に別の方法でヘルニアを修復しました。一時的にドレインチューブを数日装着し患部の炎症を抑える処置を行いました。

下:手術後の写真
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手術後の直腸診では左側に蛇行していた直腸は真っ直ぐになっており排便に問題はないと思われました。
会陰部の炎症には、細菌感受性試験を行い適切な抗生物質での治療を行いました。

2週間後に狂犬病ワクチンで来院。傷口の状態は良く、便通も問題はなくなりました。咳もほとんどしないとのことでした。


posted by サム at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

犬の両側性会陰ヘルニア(3か所同時手術)

10歳のミックス犬が、肛門の左右にシコリがあると連れて来られました。
検査を行うと左右に会陰ヘルニアがあるのが分かりました。その後に左右同時に会陰ヘルニアの手術を実施しました。同時に去勢手術も行いました。
日を改めずに、一度に3か所(右会陰ヘルニア手術、左会陰ヘルニア手術、去勢手術)同時に手術しました。

下:手術時に皮膚を切開すると会陰部の筋肉に断裂が起きて腹腔内容物と直腸が確認できました。
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手術では、早期に発見されたヘルニアなので人工物は使用しない方法を選択しました。

下:手術後の写真 肛門の左右の会陰ヘルニア整復を終了した画像
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上:その後、フィラリアの予防で来院した時の患部の画像

排便、排尿に特に問題なし 直腸診での異常はなし 傷口も分からなくなりました。
posted by サム at 07:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

後眼窩膿瘍の再発を繰り返し高齢(16歳)だが抜歯、デンタルケアーを行った例

16歳2か月 プードル
左上顎の後眼窩膿瘍(上の前臼歯の根本に膿が溜まる病気)で過去に3回 内科治療を行った症例をしました。

今回、再び歯が痛い、熱がある、一昨日からフラフラしていたと連れて来られました。
血液検査では炎症の数値が高い以外は血液学的に異常なし レントゲン検査でも特に異常がないので、内科治療で口の痛みが改善した時点で抜歯処置、デンタルケアー処置をお勧めしました。

後日、全身麻酔で口腔内をチェックして後眼窩膿瘍の歯を抜歯しました。

下:画像中の矢印は抜歯した部位です。
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全部で3本の歯に異常が見つかり抜歯処置を行いました。

下:抜歯した歯 左上顎の臼歯が3本根本で歯根膿瘍を起こしていました。
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その後は、口腔内の痛みは無くなり経過良好だそうです。
posted by サム at 06:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

犬のリンパ腫

犬のリンパ腫
犬リンパ腫は、リンパ様細胞が異常に増殖することにより起こる進行性の病気です。リンパ腫は骨髄や胸腺、リンパ節そして脾臓などを含むリンパ様組織を構成する臓器から生じることが最も多いとされています。その他に認められる部位では、皮膚、眼、中枢神経、精巣、骨が含まれます。
一般的には、犬のリンパ腫は4つのタイプのリンパ腫があります。
1)多中心型:多くの場所で発生します。 このタイプはリンパ腫のうち約80%以上を占めます。
2)腸管型:消化管に発生します。
3)縦隔型:胸腔内に発生します。
4)リンパ節外型:腎臓や中枢神経系、皮膚などに発生します。

1)多中心型リンパ腫に関して  
首のしこりが大きくなったと来院するケースがほとんどです。この病気は抗がん剤(化学療法)で治療を行います。まずはリンパ腫であるかどうかの診断が第一です。針で穿刺して細胞診標本を作成してそれを郵送して専門医による診断を待ちます。リンパの腫脹(腫れ)があって、検査したらリンパの過形成だったりするケースも多々あります。

抗がん剤治療に関して・・
人では何種類もの高額な薬を高容量で使用する高容量の化学療法を行うので寛解から治癒する例がありますが、犬猫での化学療法はほとんどは低容量の治療方法しか確立されておらず寛解までが限度で、場合によっては半年から1年で再発する場合がほとんどです。つまり延命のための治療になります。(最初にこの点も理解して頂き治療を開始するかどうか飼い主の方に判断して頂きます)

※寛解とは、病気の症状が一時的あるいは継続的に軽減した状態。または見かけ上消滅した状態。
 治癒や完治とは異なります。

継続治療中の多中心型リンパ腫の一例
2013年1月 11歳 ボロニーズ種 下顎リンパ、腋下リンパ、鼠径リンパ、膝下リンパなどのリンパ節肥大で来院。元気食欲なし 
検査センターでの細胞診検査では、犬の多中心型リンパ腫でした。

犬のリンパ腫の顕微鏡写真(×100倍)
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犬のリンパ腫の顕微鏡写真(×400倍)
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点滴などの治療をしながら状態をみて、抗がん剤の1回目を投薬しました。最初の投薬で全身のリンパ腫大はなくなり、その後強い抗がん剤を合計6回投与しました。
その後は、オーナーの方の希望もあり、弱い抗がん剤を3週間おきに半日入院で点滴注入を繰り返し57サイクル投与し約3年4か月にわたり良好な状態を維持コントロールできていましたが、残念ながら14歳7か月で心臓病などにより亡くなりました。


posted by サム at 05:00| 埼玉 ☔| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

猫のパルボウィルス感染症

4歳9か月の雌猫が半日外に出てしまい、その後から元気食欲ないと連れて来られました。

身体検査では、体重3.3kg 体温41.56 かなりの発熱が起きていました。
血液検査では、生化学検査では顕著な異常はありませんでしたが、白血球が400しかありませんでした。
(正常値は12500) そのほか貧血はありませんでした。
病院内のキッドによるウィルス検査では、猫白血病 陰性、猫免疫不全ウィルス 陰性でした。

下:入院時の猫の画像
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猫パルボウィルス感染症(猫汎白血球減少症)を疑いました。隔離室に入院してさせて、血管確保して静脈点滴+インターフェロン療法+その他対処療法を開始しました。

その後の白血球数の推移(以下) *猫の白血球平均値 12500程度
入院1日目400
入院2日目500
入院3日目1100
入院4日目4200  午後から食欲少し
入院5日目8400  食欲50% 元気あり
入院6日目13500  退院

その後の検査でパルボウィルス陽性でした。

下:退院時の写真 無事に退院しました。
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猫パルボウィルス感染症とは・・
本症はパルボウィルスに属する猫汎白血球減少症ウイルス(FPLV)による、主として猫科動物に極めて強い伝染力をもつウィルス感染症です。本症は猫ジステンパー、猫伝染性腸炎、猫パルボウイルス感染症など種々の名称が用いられてきました。ワクチン接種で予防法が確立されており今日では日常的に診察する機会は減少しています。今回の症例は、ワクチン接種歴がなくたまたま外に出てしまい感染したと考えられます。


posted by サム at 03:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

セキセイインコの断脚

3Y セキセイインコ

インコが入ったカゴを外に出していたらカラスに攻撃されたと連れて来られました。
右足付近から大量に出血しており足はぐらぐらして皮と一部の筋肉だけで繋がっているだけで足の先端部はすでに黒く変色していました。

足の再生は不可能と判断してこのまま出血が続くと生命にかかわるので麻酔処置を施して断脚を行いました。また、足の根本部分(鼠径部付近)にも穴があいていましたが、処置時間が長引くとストレスから心臓に負担がかかると思い、またその部分は薬の投薬で皮膚が再生すると思い、そのままにしました。

1週間後:処置後に抗生物質を内服して1週間後に診察をすると断脚部分は良くなっていましたが、足の付け根の部分は自宅では出血はないとの事でしたが、足を広げると少し血が滲む状態でした。

3週間後:2か所とも皮膚は良くなりました。

インコは1本足でも上にジャンプして場所を移動するようで日常の生活はでき1本足にも慣れてきているとの事でした。

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上の画像の拡大画像
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posted by サム at 02:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

予防的な片側全乳腺切除術

10歳11か月 シーズ 雌
3か月前に右乳腺全切除術を行った経緯
右の乳腺にシコリができ1週間前後急速にで大きくなったので片側全乳腺摘出術をしました。
病理組織検査で悪性所見がありました。

今回の左乳腺全切除術を行った経緯
前回、右乳腺が1週間前後で急速に大きくなり手術したら悪性だった経緯から、飼い主の方は左乳腺にも今後同様に悪性腫瘍ができる可能性を考え左乳腺も予防的に手術(片側全乳腺摘出術)を希望されました。

下:麻酔後手術前、患部を消毒後の写真 (画面右側が頭側)
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下:手術翌日の手術部位の写真
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シーリングシステムを利用した出血のない血管結紮のない手術なので翌日の痛みはほとんどなく翌日午前に退院としました。
posted by サム at 01:11| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする