3000年11月01日

メス犬の膀胱結石による尿道閉塞

9才のメスのダックスフントがおしっこが全く出ない、力んでも出ない・・との主訴で連れて来られました。
確かに触診で膀胱は拡大しており何かの原因で尿が出ないようでした。
早速、レントゲン検査を行うと下の画像のとおり膀胱にかなり大きな結石が2個ありました。
特に、画像の右側の小さい方の結石は膀胱から尿道開口部に栓をするように食い込み膀胱の尿を完全に出せないようにしていました。連れて来られたのが遅れていたら急性腎不全を起こす寸前でした。

下:腹部のラテラル像
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下:腹部ラテラル像 上の画像を膀胱部分だけを拡大したもの
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矢印側の右の結石が膀胱の尿道の入り口に食い込み排尿を困難にしているのが分かります。

すぐにカテーテルなど色々な方法で食い込んだ膀胱結石を膀胱内に押し戻すと大量の尿を一気に出しました。
血尿がひどかったので、膀胱炎などの治療を行い2週間後に手術を実施しました。

下:手術中の写真
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手術では慢性の結石のため膀胱粘膜がかなり肥厚しているので、ラジオ波メスを使用して膀胱粘膜の出血を最小限に抑えて結石を取り出しました。
数か月〜数年で徐々に結石は大きくなったようでした。

下:摘出した結石の写真
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手術で2個の膀胱結石を取り出しました。犬の負担を考えて皮膚と腹膜の切開は膀胱が出る程度の最小限の切開にしました。
取り出した結石は黄白色の結石で現在、検査センターでの結石分析中です。
今後、同じ食生活では結石が必ず再発するのでその結石ができない予防食が必要になります。
posted by サム at 09:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

オス犬の膀胱結石による尿道閉塞

14歳10か月 去勢オスのシェルティーが尿が出ないと診察終了間際に連れて来られました。前日に夜遅くまで診察している動物病院で尿路閉塞で処置をしたが、まだ尿が完全には出ないとの事でした。レントゲン検査を行うと以下のように膀胱内に約8個と尿道(膀胱からペニスの間)に約7個の結石があり尿道の結石が排尿を困難にしていました。

下:腹部のラテラル像 レントゲン画像 矢印左は膀胱内の結石 矢印右は尿道に閉塞した結石
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下:上のレントゲン画像の右矢印部分(尿道)を拡大したもの 約7個の結石が確認できます
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ペニスからカテーテルを入れて水圧で尿路内の結石を膀胱に押し戻しましたが、1個だけどうしても膀胱内に戻すことができなかったので、尿路内の1個の結石はそのままにして再び膀胱内の結石がこれ以上尿道に入りこまないような処置をしてその日の処置は終了としました。

下:上と同じ部位の処置後のレントゲン画像を拡大したもの 除去できなかった1個の結石が確認できます

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翌日に再度、尿道内に残った1個の結石を押し戻す処置を繰り返すと、やっとすべての結石を膀胱に押し戻すことができました。すべての結石が膀胱内に移動したのでカテーテルをペニスから膀胱にかけて留置しました。

血液検査で炎症の数値が高値、元気食欲がない、高齢などの理由ですぐに手術はせずに静脈点滴などの治療を施して状態が回復した2日後に手術で膀胱切開して結石を取り出しました。

手術では、15個の結石すべてをなんとか摘出しました。

下:手術で摘出した結石(15個)
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手術翌日も食欲、元気あり 14歳10か月の年齢と入院でのストレスを考慮して手術翌日に退院しました。
結石は、シュウ酸カルシウム結石でした。



posted by サム at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

野良猫の避妊(雌猫)手術後の左耳のV字カット

野良猫の避妊手術では、一度避妊手術したのに、別の方が避妊していないと思い、動物病院に連れてくるケースが過去に何回かありました。なかなか触るのが、困難なケースもありお腹の傷を確認できずに、麻酔後に毛を刈って初めて避妊済みと分かるケースがあります。また、傷口が小さく行われて年数が経過したものは、傷口を確認できずに開腹して子宮卵巣が無いのが確認されたケースも過去にあります。
不必要に麻酔をしたり、不必要に開腹手術をしないように野良ネコの避妊手術では、左の耳先端にV字カットを入れる場合が最近は多いです。

下:避妊手術後に耳にV字カットしたもの
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避妊手術後にV字カットしたもの、ほんの1分程度ででき、切る場所さえ適切ならばほとんど出血はありません。

下:避妊手術後に耳にV字カットしたもの(拡大)
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他県では、結構普及しているようです。

下:避妊手術後に耳にV字カットしたもの(拡大)
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もし野良猫で、左の耳に先端がない猫がいたら、避妊されているとご記憶ください。

遠くからも分かるように、地域によっては雄は右耳にV字カット、メスは左耳にV字カットに統一されています。
posted by サム at 07:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

下顎骨の骨髄炎

19歳10か月の雌猫が、左の口元が腫れていると連れて来られました。ここ1週間、ほとんど餌を食べないようで患部には膿が溜まっていました。膿の細胞診では、炎症細胞+++、球菌+++、桿菌+++で悪臭がしました。
レントゲン検査、血液検査で異常がないので後日、麻酔処置を予定しました。

下:麻酔した後の下顎の化膿した皮膚の写真 一見では、腫瘍のような感じでした。
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臼歯2本を抜歯しました。抜歯した部位は、下顎の腫れた皮膚までつながっており、歯が原因でした。また、歯のあった下顎の骨髄に炎症があったので下顎骨の一部を削り取り、その部分の歯肉は吸収性縫合糸で縫合しました。

皮膚部分は、大きく全周を切開、痛んだ皮膚を切り取り➡洗浄➡消毒➡縫合しました。

下:左は、骨髄炎部分の抜歯した臼歯 右は、下顎部分の顎の壊死した皮膚を全周切り取ったものの一部
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その後は入院、点滴をおこない、食欲が出てきたので3日で退院しました。
posted by サム at 06:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

犬の乳腺腫瘍に対して2回にわたり左右片側乳腺切除を行った症例

12歳半の雑種犬が、左右の胸に何個もシコリがあると連れて来られました。聞くとここ半年ぐらいでシコリができたとの事でした。針をつかった吸引での細胞診の検査では、悪性の可能性も否定できないので手術を予定しました。
1回目の手術
血液検査、レントゲン検査をおこない異常なしを確認後に左側の乳腺+シコリを手術で摘出しました。ラジオ波メス、シールドシステムを使い手術時間を短縮しました。血管の結紮はないので手術法なので手術後の痛みはほとんどありませんでした。
病理組織検査では、良性腫瘍がほとんどでしたが、1箇所のみ低悪性の腫瘍でした。

2回目の手術
約1か月半後に同様に手術を実施しました。

下:2回目の手術後翌日の写真  
右矢印は1回目の手術後(左側乳腺部) 
左矢印は2回目の手術後(右側乳腺部) 
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病理組織検査では、良性腫瘍がほとんどでしたが、前回同様1箇所のみ低悪性の腫瘍でした。
posted by サム at 05:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

乳腺腫瘍摘出

2日続けて、犬の乳腺腫瘍の手術を行いました。

@1例目
 チワワ 9才3か月 メス 歯の痛みで来院 
 偶然に、右下乳腺に11×14mm大のしこり発見 その他にも数個の小さなしこりがありました。細胞診の検査を実施すると乳腺の腫瘍性変化との結果だったので歯石除去とともにまずは右側の乳腺の片側全摘出をお勧めしました。
 後日、血液検査、レントゲン検査を行い麻酔手術ができるのを確認した後に手術を実施しました。

下:全身麻酔下で患部を剃毛、消毒して手術を行う食前の画像
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矢印のところにシコリがあります。

下:手術で乳腺+乳腺腫瘤を摘出した後の画像 二重にノイズを入れた画像
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右側の乳腺の片側全摘出をお勧めしました。

下:手術翌日の画像
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手術の翌日に退院しました。患部の痛みはほとんどありませんでした。


A例目
 シーズー 10才8ヵ月 メス 
 右に第3乳腺に急にしこりができたと来院しました。大きさは、16×18mmでした。
 すぐに細胞診を実施しましたが、悪性の可能性もあり早急に手術をお勧めしました。その日のうちに血液検査、レントゲン検査を実施してすぐに手術ができるようにしました。
 後日の検査では、悪性も可能性もありとの検査結果だったので各種リンパも含めて片側乳腺全摘出をお勧めしました。

下:全身麻酔下で患部を剃毛、消毒して手術を行う食前の画像
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下:手術で乳腺+乳腺腫瘤を摘出した後の画像 二重にノイズを入れた画像
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矢印のところにシコリがあります。

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下:手術翌日の画像

悪性腫瘍を想定して、広範囲にしこりごと片側乳腺を各種リンパ節も含めて全摘出手術を実施しました。手術の翌日に退院しました。患部の痛みはほとんどありませんでした。


@Aの2例ともラジオ波メスとシーリングシステムを併用して手術を実施したので、手術の際の出血はほとんど無く手術時間は大幅に短縮、また手術の際の血管結紮は1本も行わない方法なので手術後の痛みほとんどありませんでした。

posted by サム at 03:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

顔の外傷

3歳半の雄猫が外から帰ったら顔に外傷があると連れて来られました。
来院時には、鼻と目の間に斜めに5cm〜6cmの長い切り傷のような外傷がありました。

下:来院時の写真
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傷から推察すると猫同士の喧嘩傷ではないようでした。有刺鉄線による外傷、見知らぬ人の外での虐待?
猫は、傷のわりに痛みはひどくはありませんでした。

血液検査、レントゲン検査をして麻酔処置ができるのを確認後、その日のうちに全身麻酔下で手術を実施しました。

麻酔をして傷口をよく観察すると、顔の皮膚は、かなり深い部分まで鋭利なもので切られておりどう見ても刃物で切られたようでした。手術では、顔の中心部分なので皮膚に糸があると違和感から顔を引っ掻く可能性もあり細い吸収性縫合糸で埋没縫合を行いました。一応、オーナーの方には、近くの派出所に報告してもらいました。 (受傷現場:志木市 柏町)

下:麻酔中の手術後の写真
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下:翌日 退院時の画像
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手術翌日は、食欲、元気もあり 午前中には退院できました。皮膚縫合は、吸収性縫合糸での埋没縫合なのでエリザベスカラーの必要もなく、また猫は傷口を気にすることもありませんでした。

下:暫くして(約2週間)再診時の画像 傷口は綺麗になっています
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posted by サム at 02:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

高齢犬の(腹部背側に癒着した)大きな腫瘤の摘出

14歳1か月 8.8kgの柴犬の腹部にかなり大きな腫瘤があり手術を行いました。
手術前検査では、血液検査、胸部レントゲン検査には異常はありませんでした。
腹部の腫瘤は超音波検査では、嚢胞状を呈し、中には液体の貯留がありました。その際に、右側腎臓は大きな腫瘤のためか確認できませんでした。

下:腹部レントゲン写真 前腹部に矢印の方向に1個大きな腫瘤があるのが分かります。
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開腹手術ではまず最初に、嚢胞状の腫瘤表面に小切開をしてカテーテルを挿入して中の液体を吸引しました。

下:カテーテルを入れて茶色の液を吸引している画像
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その後に嚢胞状の腫瘤に小切開を広げて吸引器(サクション)で中を吸引排液、洗浄しました。洗浄後に腫瘤の中を除くとデコボコしたものが、数個ありました。

下:嚢胞状の腫瘤に小切開して中を覗いた画像  *軽く画像にぼかしを入れてあります
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中の液体を吸引して腫瘤を小さくすれば腹腔から外に出せるかと思いましたが、腫瘤の背側側が腹腔内の背側に広く、強く癒着を起こしており腫瘤は上の表面だけが腹腔から見える程度した出ませんでした。よって、洗浄のために空けた穴を縫合して腫瘤全体を背側側から徐々に取り出しまして無事に手術終了しました。

下:摘出した腫瘤
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下:摘出した嚢胞状の腫瘤を切開して開けた画像
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手術後は、麻酔の覚醒も良く、翌日の血液検査でも特に異常はなく翌々日から食欲旺盛、元気もありで2日で退院しました。

病理組織検査では、腎臓に発生した上皮悪性腫瘍の疑い。壊死部分が多く確定診断はできませんでした。
特殊免疫染色のため、標本をアメリカに郵送して検査依頼しました。
1週間後の抜糸時の来院時は、食欲、元気もあり経過は良好とのことでした。

特殊免疫染色での病理組織検査では、上皮由来の癌は否定され、粘液肉腫でした。癌ではないものの再発と転移に注意は必要との事。


posted by サム at 01:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする