3000年09月01日

発情中に行った雌犬の避妊手術

雌犬が避妊手術希望で初診で連れて来られました。聞くとすでに1年齢経過しており、1回生理があったとの事。2回生理があると乳腺腫瘍の発生率が上昇(4匹中1匹に発生)してしまうので、すぐに避妊の予約をしました。

後日、来院して入院する際に身体検査をすると外陰部より生理出血が始まった兆候を確認しました。(以下)

下:避妊手術当日、診察台の上で生理出血を確認。
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2回目の生理出血が始まろうとしている状態だと手術の際に若干出血が多くなりますが、今後の乳腺腫瘍発生を考慮してそのまま避妊手術を行った方が今後の乳腺腫瘍の発生率が少なくなる可能性を考え、そのまま避妊手術を行う事にしました。(飼い主の方と相談の上)

避妊手術を急いだ理由・・・
乳腺腫瘍の発生原因とメカニズムとして性ホルモンが乳がん発症の大きな要因のひとつと考えられています。
よってデーターとして以下のようなものがあります。
(1)初発情前に避妊手術をした犬での乳腺腫瘍の発生率は、0.05%(200頭中1頭)
(2)発情回数が1〜2回の間に避妊手術をした犬での乳腺腫瘍の発生率は、8%(100頭中8頭)
(3)2回以上の発情があった後に避妊手術をした犬での乳腺腫瘍の発生率は、26%(4頭中1頭)
(4)避妊手術をしない場合の犬での乳腺腫瘍の発生率は、26%(4頭中1頭)
 と、発情回数が増えるたびに発症確率急激に高くなるとのデーターの報告があります。
実際、アメリカと日本に暮らすメス犬を比べると、早期の避妊手術がよりずっと多いアメリカの犬のほうが乳がんにかかる割合は低いようです。


乳腺腫瘍とはどのような病気なのでしょうか・・
乳腺腫瘍は、良性の乳腺腫瘍と、増殖すれば命にかかわりる悪性腫瘍、つまり乳がんとがあり、犬の場合、良性腫瘍と悪性腫瘍(乳がん)の割合は約50%ずつといわれています。それら乳がんのうち、すぐに命にかかわるほど急速に増殖し、体のあちこちに転移する、極めて悪性度の高い悪性がんの割合は約50%、つまり全乳腺腫瘍の4分の1前後といわれています。

今回は、(3)に当てはまりますが、2回目の発情を完全に起こさなければ若干、発生率が低下すると思い、発情兆候がある状態でしたが、手術直前の血液凝固検査で異常なしを確認後して避妊手術を行いました。

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高齢猫の頚部の腫瘍摘出

雑種雌猫

21歳後半の高齢猫 以前から首の頚部にシコリがあり 出血を繰り返し、患部を消毒してても化膿し始めたので手術をする事になりました。既往症としては、5年前から現在まで甲状腺機能亢進症とそれに起因する高血圧症があり甲状腺抑制剤と血圧の薬を内服しています。

事前検査では、レントゲン検査、血液検査とも炎症の数値以外は異常なく手術を実施しました。

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上:手術の際の写真 手術では、ラジオ波メス、シーリングシステムを用いて20分弱の麻酔時間で終了しました。麻酔の覚醒も全く問題なく 高齢と甲状腺機能亢進症に伴う高血圧を考えて当日退院としました。

その後の病理組織検査では、扁平上皮への分化を伴う基底細胞癌でした。
これは皮膚の基底細胞から発生する基底細胞癌で、猫では比較的よくみる腫瘍です。表面は潰瘍を形成するのが一般的で、浸潤性増殖を呈しますが、腫瘍の挙動としては完全切除で良好な予後が得られることが多い低悪性度癌との事でした。

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上:3週間後の傷口の写真 一部にカサブタがあるがあります。
悪性腫瘍かつ高齢なので皮膚の再生に時間がかかりましたが、皮膚は綺麗になりました。
posted by サム at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

出血により貧血を併発した肛門周囲腺上皮腫

16歳のシーズが、以前からある肛門付近の腫瘤から出血して困ると連れて来られました。
聞くと数件の病院で手術を断られたとの事。当院の患者さんの紹介で少し遠方から来院されました。
手術前の血液検査(血球検査、生化学検査、炎症の検査)、レントゲン検査では、心臓雑音(levine 5/6 強い心雑音)、貧血あり その他異常なしでした。

血球検査;
赤血球数399万(正常値550-850万) 
ヘモグロビン9.1(正常値12.0−18.0) 
ヘマトクリット値28.1(正常値37.0−55.0)
腫瘤表面からじわじわと出血があり、このままではあと数週間で貧血による心不全で亡くなる可能性があり、手術を行うことをお勧めしました。

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上:強いぼかし画像 腫瘤表面はでこぼこした凹凸があり一部から出血があり離れていても膿の悪臭がある。
2日後の手術直前の検査では、血液の凝固検査は異常なしも、2日間に消炎剤、止血剤投薬していましたが貧血の数値は低下していました。(以下)

血球検査;
赤血球数344万(正常値550-850万) 
ヘモグロビン8.0(正常値12.0−18.0) 
ヘマトクリット値24.3(正常値37.0−55.0)

手術では、ラジオ波メス、シーリングシステムを用いて出血をさせないように手術を実施しました。

下:ぼかし画像 手術後の手術部位の画像  細いワイヤーにて肛門嚢の開口部を確認している。傷口は、肛門近くなので、皮膚に糸を残さないように、吸収性縫合糸にて埋没縫合を行いました。腫瘍が大きく、切り取り部分が不均一なので縫合部分に凹凸がある。

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その後の病理組織検査では、肛門周囲腺上皮腫と言う腫瘍でした。
肛門周囲腺上皮腫は低グレード悪性と理解されています。完全切除で予後良好ですが、稀にリンパ節に転移するケースもあるようです。

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上:手術後、12日目の手術部位 ほとんど綺麗になりました。傷口の右に肛門がある。
便の出も問題なく、温存した肛門腺も異常なく縫合部の皮膚の凹凸もほとんどありません。
posted by サム at 07:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

雄犬(去勢済)の肛門付近の腫瘍摘出

11歳の雑種雄犬(去勢済)が、肛門部左の腫瘤が徐々に大きくなってきたとの主訴で来院しました。その後、最初小さかった腫瘤が徐々に大きくなってきました。その間、2回に渡り細胞診をしましたが、2回とも腫瘍性の疑いは少ないとの結果でしたが、アポクリン腺癌など悪性腫瘍を疑い(アポクリン腺癌は、針での細胞診で分からないケースが過去にあった)摘出手術を実施しました。

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上:麻酔下での腫瘤の画像 右側には縫合にて一時的に閉鎖した肛門があります。


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上 強いぼかし画像:ラジオ波メス、シリーングシステムで用いて腫瘤を徐々に掘り下げて摘出している画像
この部位は非常に血管が多く、通常のメスでは出血が多く縫合糸で血管を結紮するケースが多い部位ですが、1本の縫合糸も使わずに出血をコントロールして腫瘤を摘出できました。その分、手術時間も短縮できました。


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上 強いぼかし画像:画像は、手術で摘出した腫瘤 腫瘤はかなり深い部位までありました。
病理検査では、良性の肛門周囲腺腫でした。
通常、肛門周囲腺腫は、去勢していない雄犬に発生するケースがほとんどですが、稀に今回のように去勢済の雄犬や雌犬にもごくまれに発生します。
また、通常、肛門周囲腺腫は、良性腫瘍なので徐々に大きくなりますが、今回のケースでは最初数ミリだったのが、2か月半で約6cmまで大きくなり結果的には手術が必要でした。

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上:手術後直後の傷口
肛門部の近くなので、手術部位は縫合糸は体表に残さず、埋没縫合にしました。

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上:手術後10日後の画像 画像の中央黒いシミの左側が傷口ですが、ほとんど分からない程度に綺麗に癒合しました。
posted by サム at 06:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

幼若犬の橈骨尺骨骨折

生後、5か月弱のプードルが前肢に痛みがあると連れれ来られました。

レントゲン検査では、橈骨尺骨骨折がありました。

下:前肢のレントゲン写真 橈骨尺骨骨折
  前肢の中央やや遠位で2本の骨が骨折しているのが分かります。

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犬は、まだ若く骨は成長中の状態なので、プレートで固定してしまうと骨の成長を妨げてしまい、左右の前肢の長さに差が生じてしまうので、プレートでなくピンによる固定を選択しました。

下:橈骨尺骨骨折をピンで固定した写真
  犬は幼若なので骨の骨髄腔はなくドリルで骨髄腔を作りピンを挿入しました。

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その後は、プレート法と違いピンによる固定だと骨の安定性に欠けるので外固定を併用して骨折の治療管理を行いました。その後、約5週間で挿入したピンを除去しました。

下:挿入したピンを除去した直後のレントゲン写真

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骨折した橈骨部は、若干の隙間があるように見えますが、骨は完全に癒合しております。
また、尺骨骨折の方は、橈骨がピンで固定されているので正常な部位に移動して完全癒合しております。
 
約5週間後のピン除去後に犬の歩行は、正常でジャンプ様の動きもありましたが、念のためあと10日間はケージレスト(檻の中で生活)をしてもらいました。
その後、全く問題なく完治しました。
posted by サム at 05:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

小型犬の橈骨尺骨骨折

久々に橈骨尺骨骨折がありました。

ポメラニアンが階段から落ちて前肢を痛がっていると連れて来られました。
レントゲンを撮影すると以下のように前肢の橈骨尺骨が2本骨折しているのが分かりました。

写真下:骨折した骨のレントゲン写真
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痛みどめの処置、腫脹緩和の治療を行い後日、手術を実施しました。

下:手術中の写真  骨折端が確認できる
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この骨折では、色々な手術法があります。
1)外固定のみで手術をしない
2)骨の髄内ピン挿入 (骨が成長中の幼若犬では選択するケースがある)
3)プレートにて骨折部分を固定
4)創外固定にて骨折部分を固定
1)だと癒合不全を起こす可能性があり  2)だと小型犬の骨が細く太いピンが使用できず強度に不安 また横の安定性に欠け癒合に時間がかかる
獣医療の理想的には、3)4)が良い方法と思います。
3)を選択しました。 骨折部分から近位3穴、遠位3穴で合計6穴のプレートを装着できたので安定すると思われます。 *4穴プレートでは安定性にやや欠ける

写真下:手術後のレントゲン写真(縦方向)
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写真下:手術後のレントゲン写真(横方向)
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手術としては、2本の骨のうち橈骨を固定することにより尺骨も正常な位置に移動して自然に2本の骨が癒合するという手術法です。
posted by サム at 03:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

犬の蕁麻疹

12歳のダックス 飼い主の方が家に変えると以下のように顔にみみずばれ(蕁麻疹)となり慌てて連れて来られました。特に変わったものを与えたことはなく、薬の投薬歴もなし、その間は室内だけで外界との接触はなし、室内に観賞用植物もなし 原因不明

下:病院に連れてこられた時の写真
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アレルギーの薬を注射すると4時間程度で若干の発赤はありますが、以下のように急激に改善しました。

下:治療後 4時間後の写真
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みみずばれ(蕁麻疹)と腫脹した部位は薬物、化学物質、何らかの食物摂取、虫刺され、太陽光に対するアレルギー反応でも起きます。通常はアレルゲン(抗原)への暴露から20分以内に起こります。
みみずばれはアナフィラキシー反応の最も軽度な型で小さな腫瘤が皮膚にできます。しばしば痒みを伴います。腫脹は顔面に最もよく認められ、特に口唇、鼻、眼の周辺が顕著です。
今回のように原因がはっきりしないケースも稀にあります。
posted by サム at 02:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

犬の口腔内腫瘤摘出

ダックスフントが口の中に何かシコリがあると連れてこられました。

下:手術前の写真 口腔中のしこり
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現時点では、しこりから出血したり痛みがあったりすることはありませんが、今後大きくなると色々と支障をきたす場合も想定できるので、検査目的にシコリを切除しました。

下:切除後の写真
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手術は、ラジオ波メスの凝固モードで腫瘤周辺を切除しました。予想に反してほとんど出血はありませんでした。その日のうちに退院としました。

下:切除したしこり
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病理組織検査では、臨床的にエプーリス(歯肉腫、歯根茸腫)と呼ばれている反応性の病変が認められました。構成する細胞には異形成(悪性の所見)はなく、骨形成性エプーリスに相当する増殖性の病変で、悪性所見はありませんでした。
posted by サム at 01:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする