後日、来院して入院する際に身体検査をすると外陰部より生理出血が始まった兆候を確認しました。(以下)
下:避妊手術当日、診察台の上で生理出血を確認。

2回目の生理出血が始まろうとしている状態だと手術の際に若干出血が多くなりますが、今後の乳腺腫瘍発生を考慮してそのまま避妊手術を行った方が今後の乳腺腫瘍の発生率が少なくなる可能性を考え、そのまま避妊手術を行う事にしました。(飼い主の方と相談の上)
避妊手術を急いだ理由・・・
乳腺腫瘍の発生原因とメカニズムとして性ホルモンが乳がん発症の大きな要因のひとつと考えられています。
よってデーターとして以下のようなものがあります。
(1)初発情前に避妊手術をした犬での乳腺腫瘍の発生率は、0.05%(200頭中1頭)
(2)発情回数が1〜2回の間に避妊手術をした犬での乳腺腫瘍の発生率は、8%(100頭中8頭)
(3)2回以上の発情があった後に避妊手術をした犬での乳腺腫瘍の発生率は、26%(4頭中1頭)
(4)避妊手術をしない場合の犬での乳腺腫瘍の発生率は、26%(4頭中1頭)
と、発情回数が増えるたびに発症確率急激に高くなるとのデーターの報告があります。
実際、アメリカと日本に暮らすメス犬を比べると、早期の避妊手術がよりずっと多いアメリカの犬のほうが乳がんにかかる割合は低いようです。
乳腺腫瘍とはどのような病気なのでしょうか・・
乳腺腫瘍は、良性の乳腺腫瘍と、増殖すれば命にかかわりる悪性腫瘍、つまり乳がんとがあり、犬の場合、良性腫瘍と悪性腫瘍(乳がん)の割合は約50%ずつといわれています。それら乳がんのうち、すぐに命にかかわるほど急速に増殖し、体のあちこちに転移する、極めて悪性度の高い悪性がんの割合は約50%、つまり全乳腺腫瘍の4分の1前後といわれています。
今回は、(3)に当てはまりますが、2回目の発情を完全に起こさなければ若干、発生率が低下すると思い、発情兆候がある状態でしたが、手術直前の血液凝固検査で異常なしを確認後して避妊手術を行いました。