3000年08月01日

高齢犬の尻尾にできた腫瘍

12歳 雑種雄犬の尻尾に以前からある腫瘤が破裂したとの主訴で連れて来られました。
見ると、尻尾の付け根付近にある腫瘤の一部が破裂を起こしていました。出血は治まっているようなので細胞診を実施し、検査結果が出るまでは感染と出血の管理を約1週間行いました。

下:破裂を起こした尻尾にできた腫瘤
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細胞診の検査結果は、肛門腺由来の腫瘍との結果でした。
検査では直ちに悪性と判断される異型性は強くないとの事なのでマージン(皮膚切除)はぎりぎりで切り取ることにしました。

下:手術中の腫瘍を切除後の画像
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皮膚の緊張を緩和する処置を施して、皮膚はなんとかギリギリで縫合可能でした。手術で摘出した腫瘤は、病理組織検査結果では肛門周囲腺腫でした。表皮は限局性に潰瘍化しており多発性の壊死巣があったようでした。腫瘍は完全に切除されているとこ事でした。また、再発予防で去勢手術も同時に実施しました。

下:摘出した腫瘍
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その後、抜糸時には皮膚の癒合はまったく問題ありませんでした。
肛門周囲腺腫は、肛門周囲以外にも尻尾の付け根にできるケースも多々あります。男性ホルモンが関与していると言われるので去勢手術を同時に実施するのが一般的です。
posted by サム at 09:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

前肢の指先端部の肥満細胞腫(悪性)の手術

約12歳のシーズーの前肢先端に小さなシコリができてここ2か月で徐々に大きくなってきたと連れて来られました。針による吸引細胞診の検査では肥満細胞腫の腫瘍との結果でした。
肥満細胞腫は、犬では手術で摘出が必要な悪性腫瘍です。また患部は非常に出血しやすい部位です。それに肥満細胞腫はヘパリン様物質(血液をかたまらせない物質)がでるので経験上、四肢先端部の肥満細胞腫の手術は電気メスだけの手術、レーザーメスだけの手術では手術後に出血が続いてしまいます。よって次の2種類の医療器具を使って手術を行いました。最初にラジオ波メスにてまず全周を皮膚切開し、次に皮下識を分離して腫瘍下方の周囲をシールドシステムで「シールドして切る」「シールドして切る」を繰り返してほとんど出血させずに腫瘍を切除しました。

下:腫瘍を摘出した後の画像  ほとんど出血させずに腫瘍摘出
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また、患部は大きく切除できない部分なので以下の処置を施しました。
腫瘍切除のマージン(腫瘍との境界)は短いので再発率を低下させるために、残した部分をシールドシステムで細胞破壊とラジオ波メスの先端をヘラタイプに変えて細胞破壊を行いました。

下:肥満細胞腫切除後にシールドシステムで回りの細胞を破壊して再発させないような処置をしました。
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下:肥満細胞腫切除後にラジオ波メスのヘラタイプで回りの細胞を破壊して再発させないような処置をしました。
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皮膚は吸収性の縫合糸で埋没縫合を行いました。

下:下:摘出した肥満細胞腫(悪性腫瘍)
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posted by サム at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

高齢猫の甲状腺摘出手術

12歳の雑種猫(雌)がワクチンと健康診断で連れて来られました。
体重が、やや減少しており各種血液検査で甲状腺機能亢進症があるのが判明しました。
その後甲状腺剤の投薬を開始し、投薬後のホルモン数値も正常値になり体重も増えてきましたが、しばらくすると右側の甲状腺がやや腫大しているのが定期検査で確認できました。甲状腺の細胞診を実施すると甲状腺癌の疑いが強いとの検査結果だったので右側甲状腺摘出手術を実施しました。

下:麻酔後、手術前の仰向け頚部画像 矢印は腫大した右側甲状腺
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下:手術中の甲状腺手術部位 矢印は腫大した右側甲状腺
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下:手術で摘出した右の甲状腺
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手術後は、血中Ca値濃度などをチェックして退院となりました。
その後の甲状腺ホルモン値を順次チェックしました。

病理組織検査結果所見:甲状腺癌
検索した範囲内では脈管侵襲性は見出されませんでしたが、局所再発の可能性は否定できませんとの事。

私見:小さいうちに摘出手術できれば再発の可能性は少ないと思われます。
posted by サム at 07:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

犬の上腹部にできた巨大嚢胞

約14歳半 柴犬 8kgの避妊メス犬が、食欲がない、腰の痛みがあると連れて来られました。身体検査では発熱、血液検査では強い炎症反応が見られました。その後の超音波検査で左上腹部に大きな嚢胞が形成されて中に液体貯留があるのが分かりました。

下:腹部超音波検査 左上腹部 超音波検査では黒いのは液体貯留。
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他の超音波検査所見では胆嚢正常、左右腎臓は正常 液体貯留がどこの臓器に発生したのか分かりませんでした。
抗生剤などを使用して後日、発熱がやや改善した時点で試験開腹を実施しました。
試験開腹を行うと大きな嚢胞が見つかりました。粘膜は非常に固く、まずは穿刺して中の液体を吸引しました。

下:穿刺して排液した大量の液体 ほとんどドロっとした膿でした。写真
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全て穿刺して嚢胞を見ると粘膜は厚くて後方に小腸がつらなり、胃の一部に嚢胞が形成され中に膿瘍ができたみたいで非常に珍しい症例でした。近くを観察すると腫瘍などはなく、一部粘膜から飛び出しそうな少し固い物?がありました。メスで小切開すると簡単に取り出せました。

下:取り出した異物らしきものは何かの軟骨?のようなものでした。
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推測:何か食べたものが、胃の粘膜下に入り込み嚢胞を形成してその中が化膿したようで非常に稀な症例でした。粘膜が穿孔していたら腹膜炎を起こしますが、その一歩手前の状況でした。

分泌物は検査センターに依頼して細菌感受性試験を実施しその後は経過良好でした。。
抜糸時に同じ部位を超音波で検査すると全く異常なし 血液検査でも炎症の数値は正常でした。

その後は、定期的に腹部超音波検査、血液検査で炎症反応はなく経過良好で体重も増え完治しました。
posted by サム at 06:36| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

小型犬の胃内毛球症

ヨークシャテリア 2歳 3kg 1週間前から元気なし 昨日から嘔吐数回 食欲はあると来院しました。血液検査では、肝機能、膵機能上昇 単純レントゲン検査では異常ありませんでしたが超音波検査で胃内に何かあるようなので胃内異物を疑いました(超音波検査で確定診断はできない)。その日は午後だったので、入院 静脈点滴 後日、消化管造影検査を実施しました。

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次の日のレントゲン造影検査では、胃内に何かあるような陰影像が造影剤投与 直後、5分で僅かに観察されましたが、15分、30分、60分、2時間の画像では異常所見は無くなり造影剤の胃や腸での通過時間は正常でした。

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1日目の超音波検査や2日目の胃の造影検査で胃内に何か異物がある可能性が否定できないので、その日のうちに麻酔下で内視鏡検査を実施しました。内視鏡検査では、胃内異物がすぐに確認できました。異物鉗子で取り出そうとしました(写真画像)が、異物が大きすぎて胃の噴門から食道に通過させられませんでした。よってそのまま麻酔下で内視鏡処置から開腹手術に切り替えました。

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開腹手術で取り出されたものは、上の写真のような輪ゴム2個に毛が絡まり大きな毛球(動物の毛と人の毛)でどうみても内視鏡で摘出は無理な大きさでした。

今回の場合、いきなり試験開腹手術を実施するより、まず内視鏡で取り出せるものは取り出す。どうしても無理な場合に手術を実施するように、内視鏡検査右矢印1開腹手術の順に手技を進めていく必要があると思います。

消化管内異物では、今回のように事前検査で確認できないケースはよくある事です。単純レントゲンで全てが写し出されるわけではありません。
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猫のヘモプラズマ症

6歳の雄猫が、食欲不振、元気なしで連れて来られました。
身体検査で、発熱(T40.5 )、重度貧血(ヘマトクリット値:16% 猫の正常値37%)、軽度黄疸がありました。
その他、猫白血病ウィルス検査:陰性  猫免疫不全ウィルス検査:陽性でした。

血液塗抹検査で赤血球表面に何かの原虫がいるような所見があったので、血液検査で猫ヘモプラズマ検査を行いました。(検査センター依頼)

下:血液塗抹標本 (×1000倍)
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後日、検査結果では猫ヘモプラズマが陽性でした。

猫ヘモプラズマ症は赤血球寄生性の微生物(最近まではヘモバルトネラと呼ばれていた)の感染によって発症する病原体です。猫伝染性貧血とも呼ばれることもあります。
猫ヘモプラズマは血液の赤血球に寄生することにより赤血球が壊され、溶血性貧血を引き起こします。
猫免疫不全ウィルス陽性で白血球が4000程度しかなく、猫ヘモプラズマ症を発症したようでした。

よって、猫ヘモプラズマ症に効く薬の内服を開始しました。
長期間の投薬により発熱、貧血は徐々に改善し、薬なしでも大丈夫な状態に回復しました。
体内からヘモプラズマの完全な根絶は難しいようで免疫力の低下により再発する場合もあるようです。
posted by サム at 03:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

猫の瞬膜にできた腫瘍

10歳の雑種猫が、右眼の内側にある瞬膜(第3眼瞼)がだんだんと眼球を覆ってきたという主訴で連れて来られました。抗生剤、消炎剤の点眼に反応は無く瞬膜は1-2週間で徐々に大きくなり眼球の約80%を覆うようになりました。急速に大きくなってきたので悪性腫瘍を疑い、細胞診を行わずすぐに瞬膜切除術を行いました。

下:麻酔中の写真 瞬膜が眼球を覆っているのが分かる この瞬膜を根本から切除しました
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下:眼球を消毒して滅菌布を覆い瞬膜切除を行う前の画像
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下:切除した瞬膜 瞬膜は根本部分も太くなっており何かの悪性腫瘍が疑われました。切除した組織は検査センターに依頼
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病理組織検査では、悪性腫瘍(局所のリンパ腫の可能性?)との診断結果でした(他の体表リンパ節には異常なし)。
病理組織検査所見では、核分裂像は高倍率10視野あたり38個で悪性腫瘍の疑いが強い結果でした。
その後、リンパ腫の確定と免疫表現型の決定には免疫組織化学染色が有効なので行いました。
結果はリンパ腫でした。

手術後は、目を覆っていた瞬膜がなくなり見えるようになり特に問題はないようでしたが、その後、瞬膜周辺は再び大きくなりましたが、ある種の薬剤の投薬で以下のように小さくなりました。当初は眼圧も上昇して眼圧を下げる点眼も必要でしたが、現在は点眼は必要なくなりその薬剤の投薬で様子観察の状況です。

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posted by サム at 02:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

腸閉塞の症例

3歳6か月のジャックラッセルテリアが急な嘔吐で連れて来られました。
触診で上腹部に何か柔らかいものが触知されましたが、単純レントゲン検査、血液検査では異常がなく、取りあえずは様子観察としました。嘔吐が継続するようなら入院にて詳しい検査が必要な趣旨を説明しました。

その後、嘔吐が継続するようなので消化管造影検査を実施しました。
造影剤投与で腸から3時間で大腸まで造影剤は通過しましたが、一部の造影剤は7時間でも胃に停滞しており何らかの通過障害があると思われました。

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上下のレントゲンは、造影剤投与7時間後のレントゲン写真です。
造影剤は、一部大腸まで到達しているが、一部は胃に残っている状態。

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その日のうちに試験開腹を実施しました。すると小腸の胃側 4分の1あたりに以下の異物が閉塞していました。

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滅菌布から腸を取り出し、感染予防で腸の左右に湿らせたガーゼを置いています。

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切開した腸は、異物を摘出した後に吸収性縫合糸で閉鎖しました。

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異物は、何か長方形のゴムのようなものでした。このようなゴム製の異物は通常のレントゲンでは確認できません。形が長方形だったので隙間から一部の造影剤は通過して大腸まで到達してしまい診断を難しくしていました。
posted by サム at 01:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする