3000年07月01日

雄猫の両側性の停留睾丸(陰睾丸)の摘出手術

雄の犬猫では通常は生後2か月までに睾丸は陰嚢内に下降します。もし生後2か月で睾丸が正常な位置に無い場合、潜在睾丸(陰睾丸)の疑いが強くなります。潜在睾丸では、お腹の中に残るタイプと鼠径輪から外に出るが正常な部位に移動せずに皮下に残るタイプがあります。まれにその中間の鼠径輪に引っ掛かりある部位が分かりにくいタイプもあります。潜在睾丸の発生率では犬1.2%、猫1.7%。犬では右側の睾丸の方が左側よりも2倍発生頻度が高く、猫では左右での発生頻度鵜は同じだと言われています。

スコテッシュホールド 雄 9か月齢が去勢希望で連れて来られました。9か月齢で皮下の脂肪も多く、また大きな猫種なのか触診では何回触っても左右ともに睾丸の確認はできませんでした。当日に麻酔下でもう一度触診して無い場合は、開腹手術になる趣旨を説明しました。

下:麻酔後の下腹部の写真 見た目では左右の睾丸はありません。
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麻酔下で少し強く圧迫しながら触診を行うと皮下の下の筋肉層に何かの小さなMassが僅かに確認できました。
術中超音波で確認後に、左のMassのある部位を注意して小切開すると睾丸が見つかり摘出手術を行いました。
右も同様に注意深く探索するとやっと確認でき同様な処置を施しました。

下:手術後の写真 傷口は最小限で切開摘出をしました。開腹手術せずにすみました。
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下:摘出した左右の睾丸 左右ともに睾丸は通常のサイズに比べて 1/4〜1/5程度に小さくなっていました。
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通常の部位に移動しない睾丸はかなり小さいサイズになっているケースがほとんどです。
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犬同士の散歩での咬傷事故

2015年になってここ3か月以内で、犬の散歩時に偶然に出会った犬同士がジャレあっていて急に噛まれる咬傷事故が3例ありました。普段は大人しい犬も何かの拍子に怒って咬傷事故に発展するケースがあるのでリードを引っ張る飼い主の方はお互いに十分に注意をして下さい。1例は内科治療、1例は局所麻酔で簡単な縫合処置、1例は傷が大きく全身麻酔で手術になりました(以下)。

ヨークシャテリア 1Y 散歩時に中型犬に噛まれたと病院直前に連れて来られました。
見ると口唇部に大きな裂傷があり緊急手術を実施しました。

下:麻酔後の写真(全体像) 口唇部に裂傷があるのが分かります。
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胸部、腹部レントゲン検査 CBC,生化学検査を実施後、外傷性のショック予防のため静脈点滴をしながら手術を実施しました。

下:麻酔後、手術前の写真(局所)
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皮膚は一部欠損しており一部口唇ラインが湾曲しましたが、軽度なので毛が生えれば見た目では怪我があるかどうかは分からないと思います。縫合は吸収性縫合糸で埋没縫合を行いました。

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その後、傷口は綺麗になりました。口を閉じた時に一部隙間はありますが、食事や水を飲む時にこぼれることもなく生活上は問題なく生活できているようです。外見も毛が生えればわからなくなると思います。
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胃の綿状異物の症例

3kgの小型犬が、車での移動時に黒色の異物を一度吐いて、再びそれを食べてしまったという主訴で連れて来られました。その時以外は特に消化器症状はないとの事。吐かせる治療をしましたが異物を嘔吐する事はできませんでした。後日、食事を抜いて連れてきてもらい単純レントゲン、超音波検査を行いました。レントゲン検査では異物は写りませんでした。

下:空腹時の胃の超音波検査では異物の時に見られるリングダウンアーチファクトが確認できました。
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内視鏡では、胃内に何かの異物はありましたが大きすぎて胃の噴門を通過できず摘出できませんでした。
その日の夜に手術で異物の摘出手術を実施しました。

下:手術中の画像 麻酔、開腹後、胃を腹腔から少し出して2か所の支持糸で吊り上げている画像 シコリはかなり大きく一塊になっていました。胃切開で摘出しました。術野の回りは湿らせたガーゼを覆っています。
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下:摘出した綿状異物 大きさ的に胃の噴門を通過できる大きなではありませんでした。どうも同じような異物を過去にも摂取していてそれら異物が胃内で絡まり一塊りになったようでした。
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その後、2日入院して退院しました。経過良好でした。

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猫の乳癌の2症例

犬と違って猫の乳腺にできた腫瘍は、ほとんどが悪性の乳癌です。また、犬と違い猫では、小さいうちに手術を行っても数か月〜長くて2年の間に再発するケースがほとんどです。手術に関しては、この点を飼い主の方に説明した上で手術を行うのが非常に重要だと思います。

症例1)
10Y以上(年齢不明)のメスの雑種猫が急に乳腺が大きくなり分泌物がでていると連れて来られました。一部の乳腺は大きく腫大して中に液体が貯留していました。

下:麻酔後の患部の画像
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血液検査、レントゲン検査で異常がないのを確認、また手術をしても再発することを説明した上で手術を実施しました。今回のケースでは、このままでは腫大した乳腺は破裂を起こしてしまいQOL(生活の質)の低下にもなり手術を行った方がいいかと思われます。

下:手術後の患部の画像  消毒後の写真画像(茶色は消毒液)です
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シコリのある部位を全て手術にて切除しました。手術はラジオ波メス、シーリングシステムを使用したのでほとんど出血はなし 太い血管の結紮もなし 術後の疼痛は少ないように感じました。翌日退院。



症例2)
11Yのメスのロシアンブルーが腹部に数センチ大の塊りがあると連れて来られました。
早速、針による細胞診を行い、検査センターに検査を依頼しました。後日の検査では、乳腺癌でした。犬の乳腺癌は手術で完治するケースもありますが、猫では手術をしても再発率が非常に高い(ほとんど再発してしまう)悪性腫瘍です。飼い主の方には、手術をしても再発することを説明した上で手術に同意して頂きました。

下:悪性腫瘍の画像
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各種血液検査、胸部レントゲン検査で異常なし、飼い主の方と相談をして手術を行う事になりました。

下:手術中のシールドシステムによって乳腺摘出している画像(ぼかし画像)
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手術では、非常に再発の多い腫瘍なので再発を遅らせるために、皮膚はラジオ波メスを使い、皮下識はシールドシステムを使い、ほとんど出血をさせず(出血により腫瘍細胞が散らばるのでなるべくさせない方がよいという考え)に患部の根本から深く大きく腫瘍+5乳腺を摘出できました。またシールドシステム使用のため糸を使った血管の結紮縫合は1本もなく、そのため手術後の痛みは少なく全体の手術時間もかなり短縮できました。

下:手術後翌日の画像
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手術では、第1乳腺〜第5乳腺まで全て摘出。
手術翌日は痛みはほとんどなく、食欲もあり経過良好でした。
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犬の膝蓋骨脱臼の手術

小型犬では、後肢の膝蓋骨が内側に脱臼しやすい子が多数います。
膝蓋骨脱臼は、4段階のグレードに分けられます。
グレード1:脱臼しても自然と正常な状態に戻ることが多く、無症状。
グレード2:時々脱臼した足を浮かせて跛行しますが、簡単に整復でき、日常生活にそれほど大きな支障なし 一部で放置すると、骨が変形、靭帯が伸びるなどしてグレード3に進行
グレード3:脱臼していることが多く、整復してもすぐに脱臼した状態になるため、一部で痛みあり
グレード4:常に脱臼している状態となり、元に戻すこと(整復)ができず、X脚様の歩行だったり痛みを一部で慢性の痛みを伴う
膝蓋骨脱臼は、様々な犬種で発生しますが、特にトイ・プードル、ポメラニアン、ヨークシャー・テリア、チワワ、マルチーズなどの小型犬によく見られます。

膝蓋骨脱臼は多くの小型犬が持っているケースがあり全てで手術が必要なことはありません。特にグレード1はよくある事です。グレード1グレード2のケースと以下1)2)3)に当てはまらないケースでは手術は必要ないでしょう。
1)慢性の痛みが継続するケース、繰り返しの痛みが起こる場合
2)脱臼する際に何か衝撃がかかるような外れ方をするケース
3)膝蓋骨の外れている変位のズレが大きく(グレード4)歩行が明らかにおかしく場合では手術を行う場合があります。

8Y パピオンが左足の疼痛で連れて来られました。触診ではグレード3〜グレード4の膝蓋骨脱臼がありました。2)3)に当てはまるケースでした。レントゲンでは膝蓋骨が内側に大きく変位しており、歩く際の姿勢も明らかにX脚様なので、今後の進行を考え手術をお勧めしました。
下:レントゲン写真 矢印は脱臼した膝蓋骨
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手術で関節包を開けると膝の滑車溝は浅く膝蓋骨は先天的に脱臼しやすいようでした。
関節内の前十字靭帯は異常ありませんでした。
下:膝の関節を開けて骨を露出したところ 矢印は膝蓋骨が内側に大きく脱臼している部位
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手術では3種類の方法を併用して膝蓋骨を整復する方法を行いました。
下:手術後の写真
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8歳での手術だったので治癒が遅れる可能性があり心配でしたが、抜糸の時には普通に歩いていました。自宅では飛び跳びはねることもあるそうで経過良好でした。
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プードル犬の股関節脱臼2症例

●1症例目)8歳半のプードルが階段の段差に足をぶつけて跛行があると連れてこられました。
レントゲン検査では股関節脱臼が確認されました。股関節は前方背側に大きく脱臼していました。

下:脱臼した股関節骨頭 骨盤の寛骨臼からの脱臼後の変位は大きく 骨頭の靭帯は完全断裂したと思われる 矢印は脱臼した股関節骨頭
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麻酔下で整復する方法もありますが、変位が激しく整復できても再発する可能性高いことや手術ではほとんどが改善する点を考えて最初から手術を選択されました。

手術2日後に普通に歩行できるようになりました。痛みもほとんどありませんでした。

下:脱臼した股関節骨頭を切除後のレントゲン写真 矢印は切除された股関節骨頭があった部位
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この手術では、色々なアプローチ方法があります.ほとんどは手術を行う事で順調に回復します。
手術で切除された股関節骨頭部分は、その後に偽関節と言われるものが形成されて通常の骨頭と同じように機能して通常どおりの生活ができる手術法です。股関節骨頭切除術は、股関節脱臼以外にもレッグ・カルベ・ペルテス病や股関節骨頭骨折の一部で実施されている昔から行われている一般的な手術法です


●2症例目)約6年のプードルが右後肢跛行で連れて来られました。問診では、同居犬との何らかの拍子にぶつかり、それから跛行が生じたとの事でした。

レントゲンでは、股関節脱臼がありました。麻酔下で整復を試みましたが、再度脱臼を起こし手術を選択しました。

下:脱臼した股関節のレントゲン写真
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下:手術後の股関節骨頭切除した後のレントゲン写真
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下:切除した股関節骨頭
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脱臼した股関節骨頭を切除することによりその部位に偽関節が形成されて関節様の働きができ。痛みもなく普段どおりの生活ができるという以前からある手術法です。



posted by サム at 03:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

犬の股関節脱臼

16歳のフレンチブルドックが、階段から落ちて右足を痛がると連れて来られました。
レントゲンを撮影すると股関節が脱臼していました。この犬は、心臓が悪く心臓の薬を数種類内服しており飼い主の方は手術を希望していませんでした。

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上:レントゲン検査では右股関節が脱臼しているのが分かる。
よって、短時間の麻酔鎮静処置にてレントゲン透視下にて整復をしました。
股関節脱臼では、ほとんどは手術で完治させるケースがほとんどで整復しても再発するケースが多い。

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上:整復後のレントゲン写真。股関節が正常な位置にあるのが分かる。

その後、運動制限をして様子観察しましたが、とりあえず再発なくコントロールできています。通常は、股関節骨頭の靭帯が切れているので、整復しても再び脱臼してしまい手術になるケースがほとんどですが、うまくいった理由として考えられるのは、1)今回の犬はすでに高齢で動きが遅くそのため再発しなかった? 2)犬種的に股関節骨頭がおさまる寛骨臼が深く外れにくかった? 3)今回の股関節脱臼の変位の程度が軽かった?
などの理由からか半年しても再発はない状況が続いています。通常は、整復してもほとんど再発するので獣医療では手術にて完治させる治療の方がベストだと思われます。
posted by サム at 02:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

猫の広範囲(肛門腺破裂による)皮膚壊死

犬猫では肛門の左右斜め下の部分に肛門腺と呼ばれる分泌腺があります。通常は、便をする時や興奮した時などに力んで肛門につながっている部分に分泌液がでますが、分泌腺の出が悪くなると肛門腺が破裂して皮膚の下に膿が漏れ出します。その後に膿が増えて今度は皮膚が破れて膿が外に出ます。早めに皮膚が破れれば自然に回復するケースもありますが、皮膚が破れないと皮膚の下に大量に膿が増えて皮膚表面が壊死を起こし(皮膚が黒くなり)皮膚が脱落して傷口は大きく開きます。

19歳 メス猫 数日前から食欲元気なし。肛門左側が大きく腫れているという主訴で連れてこられました。見るとその部分の皮膚は黒くなり大きく壊死を起こしていました。壊死した黒い皮膚中央に大きく切開をすると中から大量の膿が出てきました。

写真は2枚とも右上が尻尾部分 左下が後ろ足部分 斜め右下にして保定している画像です。

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上:写真は黒く壊死した皮膚を切開して膿を出して、中を洗浄、消毒した後の画像。壊死した皮膚は肛門に非常に近く広範囲かつ深部にまで達していました。(写真矢印は肛門部分の位置です)

壊死部分に切開を入れ膿を排液して中を洗浄しました。この状態では、すぐに手術は無理なので消毒と特別な外用薬塗布を1日3回繰り返しました。その後に手術を行いました。

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上:写真 黒い枠内は縫合部分を示しています。ピンセットの先端部分は肛門です。縫合した部分と非常に近い部分でした。
傷口の状態を確認して手術2日後に退院させました。

その後、抜糸 傷口は完治しました。
posted by サム at 01:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする