3000年06月01日

レッグ・カルベ・ペルテス病

レッグペルテスとは・・・
レッグペルテスは、若齢の超小型犬および小型犬の大腿骨の先端に変性を起こします。この病気は、骨の血液供給の欠如と血管の破壊により特徴づけられます。原因は不明ですが、遺伝性であると考えられています。国内では最近、飼育頭数の多いプードルやポメラニアンなどの発症が多いようです。大腿骨骨頭への突然の血液供給の欠如は、この骨の先端の破壊を引き起こします。症状には、後肢の跛行、大腿骨の委縮、股関節の動きに伴う痛いがあげられます。治療は病変の大腿骨頭を外科的に切除します。この疾患の犬はほとんどの場合、回復します。

生後約6か月のプードルが左足の疼痛で連れてこられました。
当初は、消炎鎮痛剤で様子観察しましたが、レントゲン検査でレッグペルテスが疑われたのと痛みが数週間にわたり続くため股関節骨頭切除術を実施しました。

下:正常な股関節骨頭(右側)
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下:レッグペルテスが疑われた股関節骨頭(左側)
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股関節骨頭の成長板の部位が黒くなり血液供給が少なく、股関節骨頭自体が変形しているのが分かります。


下:手術で切除した股関節骨頭
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手術後、1週間程度で徐々に疼痛は無くなっていきました。

この手術では、色々なアプローチ方法があります. ほとんどは手術を行う事で順調に回復します。
手術で切除された股関節骨頭部分は、その後に偽関節と言われるものが形成されて通常の骨頭と同じように機能して通常どおりの生活ができる手術法です。
股関節骨頭切除術は、レッグ・カルベ・ペルテス病以外にも股関節脱臼や股関節骨頭骨折の一部で実施されている昔から行われている一般的な手術法です。
posted by サム at 09:41| 埼玉 ☔| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

胆嚢由来の嚢胞性病変の症例

10歳半の雄の猫ちゃんが慢性の嘔吐下痢で連れて来られました。
血液検査では、異常なし
レントゲン検査で右側の肝臓の後方に楕円形の少し大きな腫瘤病変が認められました。

レントゲンのラテラル像 下のCR画像では矢印の所が異常所見です。
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超音波検査では、形状は袋状で液体貯留しており胆嚢様ですが異常に拡大しており、その中に胆泥とは違う小さなシコリがあるのが分かりました。

超音波画像 胆嚢状のしこり 中にシコリがあり腫瘤下部は大きな血流があるのがカラードップラーで分かります。
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内科療法で嘔吐、下痢が改善したところで試験開腹を実施しました。
お腹を開けるとそのシコリの袋状の表面は鬱血して粘膜肥厚していて明らかに手術は必要な状態でした。

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手術で大きくなった病変部をシーリングシステムを使いながら切除しました。

その後の病理組織検査では、胆嚢由来の嚢胞性病変を考える・・という検査結果で腫瘍性疾患ではありませんでした。また手術前の肝酵素、胆汁うっ滞の時に上昇する血液データーは正常値でした。

posted by サム at 08:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

アポクリン腺癌の手術

アポクリン腺癌とは・・・
雄の犬では、肛門周囲に肛門周囲腺腫という良性腫瘍が発生するケースが多々あります。同じ肛門付近にできる腫瘍でアポクリン腺癌があります。このアポクリン腺癌は、肛門嚢(におい袋の様なもの)にできる比較的稀な悪性腫瘍で肛門周囲の深い部位に発生します。よって、肛門周囲腺腫とは違い、気づいた時にはすでに大きくなりすぎて手術不可能なケースもあります。急速に大きくなるタイプが多いようです。

11歳6か月 ヨークシャテリア 去勢雄
偶然に肛門腺処置で発見されました。当初は腫瘤の大きさは約11mmでしたが、約10日後の手術当日はで約13mmでした。

手術前の画像:肛門嚢からカテーテルを入れている画像。指で圧迫しないと腫瘍の存在が分からない腫瘍が肛門右側の皮下にあります。細胞診ではアポクリン腺癌を疑う検査結果だったので早期に摘出手術を実施しました。
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手術中の画像:皮下深い部位にある腫瘍は直腸寄りにあるケースが多く手術では直腸を穿孔しないように慎重な手技が必要です。ラジオ波メス、シーリングシステムを利用して出血を最低限に抑えなるべく回りの神経に注意して大きく摘出手術を行いました。
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手術後の画像:傷口の場所が肛門に近いので、傷口は吸収性縫合糸で埋没縫合を行いました。
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肛門嚢アポクリン腺癌は犬の皮膚腫瘍全体の約2%を占める悪性腫瘍です。以前は、雌犬に多いとされていましたが、最近では、性差はないといわれています。局所浸潤性が強く、転移しやすい性質を持ち、一般的な転移部位は局所リンパ節(腰下リンパ節群)であり、約50%の症例で初診時に既に転移がみられます。時に非常に小さな肛門嚢の腫瘍が、非常に巨大な転移巣を形成することもあります。

病理組織検査では、肛門腺由来のアポクリン腺癌でした。細胞異型は軽度〜中程度でした。腫瘍組織は完全に摘出されていたようです。
今後は、悪性腫瘍なので抗がん剤などの治療が必要になります。この腫瘍の悪性度は高カルシウムが認められることが、局所再発または転移疾患の指標となり、またこの腫瘍の性質上、局所リンパ節および遠隔転移に注意が必要です。今回の症例では、早期診断、早期の摘出OPEだったので手術前の検査で高Ca血症はありませんでした。

手術後に、再発予防として抗がん剤投与を5回行いました。

その後も再発はなく、経過良好です。
posted by サム at 07:08| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ハムスター前肢の皮膚腫瘍摘出

1歳6か月のジャンガリアンハムスターの前肢にシコリができ、2週間前に気づいてから明らかに大きくなったと来院されました。しこりは固く、腫瘍を疑わせる所見でした。ハムスターの寿命、麻酔のリスクもありましたが、オーナーの方は手術を希望されました。

手術前の写真 前肢に大きなシコリがあるのが分かる
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手術後の写真 ラジオ波メスで止血しながらシコリを切除した画像
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切り取った腫瘤
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ハムスターでは、寿命が短かく生活環のスピードが早いせいか 良性腫瘍でも大きくなるスピードは速く 悪性の場合はたった1週間でかなり大きくなるものもあります。よって腫瘍の場合は理想的には良性でも手術を選択するケースがあります。しかし色々なリスクがあり、特に前肢は非常に気にする部位なので術後の傷口の管理には注意が必要です。

病理組織検査では良性腫瘍で完全切除で予後良好との検査結果でした。

その後、別の病気で来院 傷口は綺麗に完治していました。
posted by サム at 06:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

内視鏡を買い換えました


長年使用してきた内視鏡が古くなってきたので、最新式の動物用内視鏡に買換えました。
2014年12月

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動物用内視鏡システム VES <ベス>  動物用医療機器届出番号:20動薬第586号

*以下、医療器具メーカーのキャッチフレーズ
動物たちの健康をやさしく見守っていきます。
症状が、見える。
症状を言葉で伝えられない動物の診療に、高画質な画像が威力を発揮。
日常診療の頼れる"目"として観察・診断に役立ちます。

安心が、見える。
飼い主さんの不安に対して、画像による明確な説明が可能になります。
また生検をする事で、症状の原因究明に役立てる事ができます。

元気が、見える。
開腹する事無く異物の回収を行う事ができます。

※動物や異物の種類により、回収出来ない場合もあります。
また、検査結果より健康回復とQOLの向上のために優しい治療で貢献します。
*以上、医療器具メーカーのキャッチフレーズ


例えば、ファイバー先端を手の中に入れて撮影すると次のような画像になります。
以前の内視鏡に比べて画質が格段に良くなりました。指紋も綺麗に分かります。
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下の医療器具は、異物除去鉗子(かんし)で色々な胃内異物、食道内異物を取り除く医療器具です。先端で摘まんで取り出すタイプや種だど4本のワイヤーの中に入れて摘まんで取り出すもの、バスケット型でそこに異物を入れて取り出すものなどがあります。
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下の医療器具は、食道や胃などの組織生検のための医療器具です。
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異物除去の場合も組織生検の場合もファイバー先端から鉗子が出て操作処置を行います。
異物を飲み込んでしまった場合にご相談ください。
posted by サム at 05:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

15才の犬の巨大睾丸腫瘍摘出

15才の犬の左側の皮下にある(完全に包皮まで至っていない)睾丸が徐々に大きくなり歩くときに引きずるので手術をして欲しいとの事で来院されました。
見ると睾丸はかなりの大きさになっていました。

血液検査では、炎症の数値が高くなっていました。中程度の貧血がありました。
レントゲン検査では、胸部腹部とも異常はありませんが聴診で心臓雑音がありました。
後日、手術を行いました。

下:麻酔後のバリカンで毛を刈った後の患部の写真
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腫瘍化した睾丸はかなりの大きさになっていました。

下:手術中の写真 
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手術では、ラジオ波メスを使い出血を極力させないように行いました。
悪性腫瘍だと思われ、血管はかなりの太さがありました。

下:手術で摘出した睾丸
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腫瘍の大きさは、83mm×55mm×70mmでした。
腫瘍の重さは、210gでした。
もう片側の睾丸も今後腫瘍化する可能性があり去勢手術を実施しました。

下:手術後の患部の写真
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手術後は、皮膚はすぐに正常の状態に戻りました。
摘出した睾丸は、病理組織検査のため検査センターに送りました。


posted by サム at 03:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

シーリングシステムによる乳腺腫瘍摘出

2015年1月に導入したシーリングシステムですが、その月に早速に乳腺腫瘍摘出の症例が3例あり使用しました。

シーリングシステムは、電気メス、レーザーメス、ラジオ波メスで切ると出血を起こすような太い血管(5〜6mm程度まで)をシールドして出血なしに切る事ができる手術器具です。皮下識の血管の多い腫瘍摘出などでは太い血管を一部、糸で結紮して切断しますが、シーリングシステムでは皮下の血管結紮が無くなり手術時間をある程度短縮する事ができます。

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上:弱いぼかし画像
上の写真は中型犬の(細胞診では悪性所見は少ない)乳腺腫瘍摘出手術。皮膚切開はラジオ波メスを使用して皮膚をマイルド凝固で切開をし、鉗子で皮下識を分離して血管が少ない部位はラジオ波メスを使用。(ラジオ波メスでは出血するような)太い血管があるような部位はシールドして鋏で切ると言う手術を行いました。
血管の結紮が無くなったためか? 手術後は院内であまり痛みはなし。翌日帰宅後も飼い主の方の話では手術後の痛みはほとんど無かったと聞きました。

下のが、シールドシステム本体です。
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posted by サム at 02:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

シーリングシステムによる僧房弁閉鎖不全症のある高齢犬での局所麻酔下の腫瘤摘出

12歳半の愛犬 以前からあった背中のシコリから出血、化膿を起こしたと連れて来られました。4年前から心臓が悪く(僧房弁閉鎖不全症 心臓雑音はLevine分類で6段階中5)心臓の薬を継続内服中。全身麻酔下での手術はしたくない趣旨だったので局所麻酔下での腫瘤摘出を実施しました。

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上:腫瘤下の血管があるだろう部位をシールドしているところ

手術では、事前に鎮痛剤の皮下注射と患部に局所麻酔を施し、全身麻酔ではなく局所麻酔で腫瘤を摘出しました。皮膚はラジオ波メスで皮膚を360度切開し、事前に超音波ドップラーで太い栄養血管のある部位の周辺はシーリングシステムで血管をシールドして出血させずに腫瘤を摘出しました。

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上:腫瘤摘出後の患部

手術中、愛犬には痛みは全くなく出血も軽度出血程度で無事終了しました。

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上:摘出した腫瘤 非常に柔らかい触感

愛犬はその日の午後には退院としました。
その後の病理組織検査では、良性黒色腫でした。
posted by サム at 01:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする