3000年05月01日

シーリングシステムによる脾臓摘出

2015年に導入したシーリングシステムですが、早速に脾臓摘出の症例があり使用しました。

7歳数か月体重12kgの愛犬が、1週間前から食欲減退の主訴で連れて来られました。
血液検査では、生化学正常、CBCで軽度貧血とCRP(炎症の検査)が14と高い数値(正常値1以下)でした。
レントゲン検査では、以下のように腹部に大きな腫瘤があり超音波では脾臓が腫大していました。
とりあえず発熱もあるので抗生物質で様子観察を行い、炎症の数値と発熱が治まるのを待ち、悪性腫瘍の可能性も踏まえて試験開腹を勧めました。

下:腹部レントゲン画像
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その後、食欲も出てきて、発熱も治まりCRPの数値も14から4.9に下がったので試験開腹手術を実施しました。
試験開腹では、以下のように脾臓の中央部が腫大しており腫瘍を疑いシーリングシステムとラジオ波メスを併用しながら脾臓摘出を行いました。摘出後は、悪性腫瘍を疑い腹腔内をサクション(吸引機)にて数リットル腹腔内を洗浄しました。

下:弱いぼかし画像 シーリングシステムにて切除部位をシールドしている画像
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取り出した腫瘤は縦29cm 横9.5cm、中央部の腫瘤は直径9.5cmで850gの重さでした。
手術後は、すぐに食欲も出てきて軽度発熱もなくなり数日の点滴入院で退院しました。

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今回の症例では脾臓に腸間膜がひどく癒着を起こしており、このような腫大した脾臓では血管がかなり太く、一部では大出血を心配して結紮した部位もありましたがシーリングシステムを使用したことにより手術時間をかなり短縮することができ麻酔の覚醒も良かったです。

病理組織検査の結果では、悪性の血管肉腫でした。抗がん剤を使用しても予後が非常に悪い悪性腫瘍です。

その後、オーナーの方の希望もあり抗がん剤は使用せず、抗癌作用があると思われる薬を投与しましたが、術後5か月で亡くなりました。

posted by サム at 09:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

脾臓を巻き込んだ犬の腹腔内腫瘤

11歳のパグが食欲減退で連れて来られました。血液検査では炎症の数値が高く軽度貧血があり、レントゲン検査では腹腔内に大きな腫瘤がありました。超音波検査では、大きな腫瘤は脾臓を巻き込んでいるようでした。

後日、脾臓の悪性血管肉腫の可能性もありましたが、試験開腹手術を実施しました。
下:ぼかし画像

Pc260029bokasi.jpg

腫瘤は脾臓を取り込んでおり切り離す場合のリスク(出血による貧血進行)を考慮して脾臓とともに腫瘤を摘出しました。
下:ぼかし画像

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病理検査では、腫瘤部分は線維性被膜が肥厚し肉芽組織が形成され炎症も起きているが腫瘍ではなく、また悪性所見はなし。
構成する細胞にはいずれも異形成はなく、手術後に炎症の数値も低下し経過良好でした。




posted by サム at 08:30| 埼玉 ☔| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

犬の脾臓摘出

9才6か月のシーズーが食欲元気なしの主訴で来院しました。来院時に可視粘膜は蒼白で明らかに貧血が疑われました。
血液検査では重度貧血があり、その他は異常ありませんでした。レントゲン検査では脾臓がかなり大きく、超音波検査でも脾臓の一部が大きくなっていて脾臓の悪性血管肉腫の可能性もありました。

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その後、各種内科治療をしましたが貧血が改善されないのと、後々に脾臓破裂の可能性も考慮して、後日、脾臓摘出術を実施しました。手術で開腹すると明らかに脾臓は大きく血管肉腫を疑わせるものでした。

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摘出した脾臓は、一部が明らかに腫大しており(写真右側)開腹時に脾臓表面から僅かな出血もありました。
病理組織検査の結果では、炎症刺激により反応性に腫大したリンパ濾胞が多数形成され腫瘤内は鬱血し一部に血腫も形成されていたが、悪性所見はないとの病理検査所見でした。

手術後は比較的経過良好でその後貧血も改善し完治しました。
posted by サム at 07:50| 埼玉 ☔| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ハムスターの脛骨骨折

生後、数か月のゴールデンハムスターが後ろ足に跛行があると連れて来られました。
レントゲンを撮影すると以下のように脛骨、腓骨が骨折を起こしていました。

膝から下の骨は周りに筋肉があまりなく、場合によっては骨折部分が皮膚から飛び出して骨髄炎を起こして断脚になるケースもあるので、骨折した後2週間は非常に重要になります。

下:レントゲン写真では、以下のように骨折があるのが分かります。
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骨の治癒を促進する薬と骨折を起こした際の自宅でのある種の管理法を指示させて頂きました。

13日目に来院すると触診で骨のぐらぐらは無くなり骨折は癒合していました。ハムスターは痛みもなく普通に足を動かしていました。

下:13日目のレントゲン写真 骨折部分は癒合の過程で骨密度は増加しています。
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若干の骨の曲りはありますが骨折端が癒合しており、生活にはほとんど問題もなく完治しました。
posted by サム at 06:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

猫の脊髄梗塞

脊髄梗塞とは、線維軟骨が脊髄の血管の内で詰まることによって引き起こされる急性の脊髄虚血性壊死の病気です。詰まるもの(塞栓子)である繊維軟骨は、椎間板の髄核または椎体の骨髄であると考えられていますが、どのようにして脊髄血管内へ侵入するのかなど原因やメカニズムは分かっていません。

今回、17歳 シャルトリュー種の猫が昨日から急に立てないとの主訴で連れて来られました。特に後肢の麻痺がひどく、前肢も僅かに麻痺があるようでした(その後前肢も悪化進行)。四肢先端はナックリングがあり、完全起立困難、四肢の疼痛はなし、深部痛覚は正常でした。
血圧測定では最低血圧100 最高血圧163と高値でした(5回測定平均値)。3日治療しても改善がないので頚部の病変、頭部の病変を疑いCT MRI検査を紹介で検査依頼しました。

下:矢状断 頚部 T2強調画像 画像中央の小さく見える矢印部分が病変部
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T2強調画像で等信号、造影剤による増強に乏しい所見を認め、梗塞、浮腫、炎症を疑うとの所見。

下:背断像 T2強調画像 画像中央小さく見える矢印部分が病変部
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画像診断と臨床症状から脊髄梗塞でした。その後、3週間程度の内科療法で徐々に回復して歩行もほぼ正常になり普段の生活ができるようになりました。

脊髄梗塞になりやすい犬種は、ミニチュア・シュナウザー、シェットランド・シープドッグ、ジャーマン・シェパードなどの症例報告、まれに他の小型犬種の報告があるようですが猫では発症は非常に稀だと言われています。 また、脊髄梗塞は別名で線維軟骨塞栓症とも言われており通常は外科手術の必要性はなく内科的な対応で高い確率で回復する疾患です。


posted by サム at 05:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

雄犬の会陰ヘルニア

約10歳の雄のチワワが排便時の疼痛で連れてこられました。
直腸診を行うと右側の筋肉に断裂があるようで会陰ヘルニアを起こして直腸が右側に変位しての便秘が原因でした。
また、睾丸は片方が鼠径部皮下の陰睾丸でした。その日は術前検査として血液検査、レントゲン検査を行いました。

後日、手術を実施しました。まず皮下の睾丸摘出の手術を行い(会陰ヘルニアでは男性ホルモンが関与のため)、その後に会陰ヘルニアの手術を行いました。
下は、麻酔後、会陰ヘルニア修復手術前の画像です。右側がヘルニアで膨れています。
予め、肛門は便が出ないように回りを一時的に縫合してあります。
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皮膚切開後、ヘルニア門からヘルニア嚢があり切開すると脂肪が腹腔内から脱出していました。この脂肪はヘルニアを起こす誘因になるので切除をしました。
下は、ヘルニア門がら脱出した脂肪を切除している画像
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ヘルニアの穴は当初、筋肉を利用した方法で閉鎖する予定でしたが、ヘルニアを起こして長い間経過しているので筋肉が薄くなり利用できないようなので人工物を利用した閉鎖法に切り替えました。

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上は、手術後の画像 皮膚は埋没縫合で抜糸の必要のない方法を選択しました。

この病気は完全な手術方法はなく患部の手術で再発した場合、開腹手術による再手術の必要があります。

posted by サム at 03:00| 埼玉 ☔| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

猫の会陰ヘルニア(稀な症例)

生後1か月の雌猫 お尻から出血あったりなかったりとの主訴で連れて来られました。
体重600g 肛門部粘膜は腫脹しており左会陰部も少し腫脹ありオーナーの方に聞くと会陰部の腫脹は2週間前だんだんと腫れてきたとの事でした。

その後にその会陰部に大腸などの腹腔内内容物が脱出したり液体が少量貯留したり、何回か圧迫して戻すような処置治療が必要でした。

そして、比較的に安全に麻酔、手術ができそうな体重(2kg)になったところ(生後4か月)で会陰ヘルニアの手術を行いました。

下:麻酔中の左会陰部を切開中の画像

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ヘルニアの穴(ヘルニア嚢)の確認は確認しずらかったが、なんとか閉鎖しました。

ヘルニアの説明:ヘルニアとは、一般的にその部位で何らかの原因で隙間が生じた事によって本来その場所にあるべきものがその隙間から飛び出した状態の総称を言います。ヘルニアは発生部位により臍ヘルニア、鼠径ヘルニア、陰嚢ヘルニア、大腿ヘルニア、椎間板ヘルニア、横隔膜ヘルニアなどがあります。今回のはヘルニアの場所から会陰ヘルニアと言います。

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上:手術後に直腸診をして直腸側から会陰部の穴がなくなったのを確認している画像

その後は、会陰部が腫れる事はなくなり 排便も問題はありませんでした。

会陰ヘルニアは去勢手術をしていない雄犬での発症は多々ありますが、猫での発症は非常に稀な症例だと思われます。今回の症例は発症年齢から(報告はありませんが)先天性だった可能性もあるかもしれません。
posted by サム at 02:00| 埼玉 ☔| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

雄犬の腹腔内睾丸腫瘍の摘出

7歳7か月のシェルティー 19kgに以前から潜在睾丸がありました。去勢手術はしないとの事だったので、毎年ワクチン時に下腹部を触診でチェックしていましたが、本年、触診時にMass(マス)病変を触知しました。レントゲン、エコー検査をすると潜在睾丸(陰睾丸)が腫瘍化した疑いがあり飼い主の方と相談の上、試験開腹を実施しました。

下:手術中の画像
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試験開腹で腹腔内を確認すると腹腔内の睾丸は大きくなっていたのと回りの脂肪、腸間膜と癒着があり手術で摘出しました。

後日、病理組織検査結果ではセルトリ細胞腫でした。セルトリ細胞腫は潜在悪性腫瘍と捉えられます。すなわち、完全切除により予後良好であることも多いですが転移を起こす事があります。今回のワンちゃんは早期発見で予後は悪くはないと思われます。

下:摘出した潜在睾丸 腹腔内で脂肪、腸間膜などと何か所もひどい癒着を起こしており剥離分離して摘出 反対側睾丸も摘出
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手術後は翌日には退院して良好に推移しました。

下:手術後の写真
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通常、雄犬の精巣(睾丸)の下降は生後直後に終了します。
生後2か月で陰嚢への精巣下降がみられない場合には精巣下降は永久に起こらず停留するものと考えられています。一側性または両側性の停留睾丸(陰睾)は、犬でしばしば(猫でもある)遭遇する疾患です。
一般的に、下降していない精巣が腹腔内にあるいは鼠径部になお停留することは悪性転換(セミノーマ、セルトリ細胞)への素因となるため、獣医師は去勢手術を勧める場合が多いです。


posted by サム at 01:00| 埼玉 ☔| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする